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家の傾きの許容範囲はどの程度?欠陥を放置するデメリットとは

新しく家を建てたときや、中古住宅を購入したときに、「なんだか床が傾いているような気がする」「机にペンを置いたときにコロコロと転がってしまう」など、家が傾いているのではと気になったことはありませんか?

そんなときに、家の傾きはどの程度であれば生活に支障なく暮らせるのか心配になりますよね。

そこで今回は

  • 家の傾きの許容範囲について
  • 家が傾いてしまう理由
  • 家が傾いていることで受けるデメリット

などについてお伝えします。

家の傾きの基準や、傾いたまま放置することで起こる問題などがわかるので、自分の家の状態が気になっている方はぜひ最後までご覧ください。

 

家の傾きの許容範囲について

家の傾きの許容範囲などのイメージ

はじめに、家の傾きの許容範囲についてお伝えします。

「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によると、家の傾きの許容範囲は次のとおりです。

  • 新築住宅:3/1,000以内(0.17度以内)
  • 中古住宅:6/1,000以内(0.34度以内)

傾きが3/1,000ということは、1,000ミリ(1m)のうち3ミリ傾いている状態です。

例えば部屋の長さが5メートルの場合は、5,000×3/1,000=15となるので、部屋の端から端までの高さを測り、高さの差が15ミリ以内であれば許容範囲となります。

中古住宅の場合は、家が建てられてから年数が建ち、柱や基礎部分が多少劣化していることがあるため、6/1,000以内であれば許容範囲とされています。

家の傾きが気になったときは、自分で計測をするか建築事務所に検査を依頼し、傾いている角度が許容範囲内かどうか調べてみましょう。

 

家の傾きの角度について

家の傾きの角度イメージ

それでは、家の傾きの角度によってどのような違いがあるか見ていきましょう。

ここでは

  • 家の傾きが3/1,000~6/1,000の場合
  • 家の傾きが6/1,000以上の場合
  • 家の傾きが10/1,000以上の場合

についてお伝えします。

 

家の傾きが3/1,000~6/1,000の場合

家の傾きが3/1,000~6/1,000の場合は、生活していても違和感なく過ごせることが多く、人によっては少し傾きを感じる程度です。

しかし「住宅の品質確保の促進等に関する法律」では、家の傾きが3/1,000以上~6/1,000未満の場合は、構造部部分に瑕疵(かし)がある可能性が一定程度存在するとされています。

建物に重大な欠陥である瑕疵がある場合、地震で大きなダメージを受けたときに被害が出る可能性があるので、念のためホームインスペクション(住宅診断)を受けておくとよいでしょう。

 

家の傾きが6/1,000以上の場合

家の傾きが6/1,000以上の場合、角度が0.4~0.9の場合は、床の傾きが気になったり、体調不良を起こしたりする可能性があります。

家が傾いた状態のまま生活していると、めまいや頭痛、ふらつき、睡眠障害を引き起こす場合があります。

また、建物が傾いた状態に慣れてしまうと平衡感覚が鈍ってしまい、平行な建物にいるときにつまづいてしまったり、物が斜めになっているように見えたりします。

なんとなく不調が続いているというときは、家の傾きを調べてみるとよいでしょう。

 

家の傾きが10/1,000以上の場合

家の傾きが10/1,000以上、角度が1度以上の場合は、多くの人に体調不良が起こるレベルになります

めまいや頭痛、吐き気、食欲不振、倦怠感の原因となりやすく、健康被害が重くなる危険性が高まります。

また、家の傾きが10/1,000以上の場合は、地震が起きたときに家が倒壊する危険性もあるため、なるべく早く修繕をすることをおすすめします。

 

家が傾いてしまう原因とは

住宅イメージ写真

次に、家が傾いてしまう理由について解説します。

家が傾いてしまう理由としては、主に次の6つの原因が挙げられます。

  • 地震により液状化現象が起きているため
  • 地盤が弱いため
  • 地盤沈下が起きているため
  • 家が老朽化しているため
  • シロアリの浸食により腐食しているため
  • 家の構造に問題があるため

それぞれ詳しくお伝えします。

 

1.地震により液状化現象が起きているため

1つ目が、地震により液状化現象が起きていて、家が傾いているためです。

河川が近い土地などで震度5以上の強い揺れが起こると、水が噴出して土が泥のようになる液状化現象が発生する場合があります。

土台となる土地がゆるくなってしまうと、建物を支えられなくなり家が大きく傾いてしまいます。

家を建てる場合や中古住宅を購入する際は、ハザードマップなどを参考にし、なるべく災害による被害を受けにくい土地を選ぶとよいでしょう。

 

2.地盤が弱いため

2つ目が、家が建っている土地の地盤が弱く、建物を水平に保てないためです。

地盤が弱いと土台となる土の部分が家の重さに耐えられなくなり、家全体が傾きながら沈む不同沈下が起こります。

地盤を改良するには大がかりな工事が必要で、費用も数百万単位になります。

家を建てる場合や購入する際は、地盤調査会社に調査を依頼し、地盤の強さをきちんとチェックしておきましょう。

 

3.地盤沈下が起きているため

3つ目が、地面が歪んだり沈んだりする地盤沈下が起きているためです。

地盤沈下は、土の液状化や地盤の弱さによって起こる場合や、地下水を大量に汲み上げる工事をした場合、盛り土をした場合にも見られます。

地下水を大量に汲み上げると粘土層が収縮してしまい、地面の表面が沈んでしまう場合があります。

また川や海だった場所を埋め立てた土地は、他の土地よりも強度が弱いことが多く、時間が経つにつれて地盤がゆるんでしまうことがあります。

土地選びをする際は、ハザードマップを確認したり自治体に問い合わせたりして、地盤の強度に問題がなさそうか調べてみましょう。

 

4.家が老朽化しているため

4つ目が、家が経年劣化により老朽化しているためです。

築年数が経過すると、柱や梁など家を支える構造部分が老朽化してきてしまいます。

カビの発生や雨漏りにより木材が腐っていたり、土台部分が劣化していたりして、建物の強度が落ちることで家が傾く原因となります。

基礎や土台の状態は生活をしていても気が付きにくいため、定期的にプロに検査をしてもらい、メンテナンスをしておくとよいでしょう。

 

5.シロアリの浸食により腐食しているため

5つ目が、シロアリが浸食することで基礎や土台が腐食しているためです。

シロアリは木材を食べてしまうため次第に建物を支える柱がもろくなり、建物が傾いてきてしまいます。

シロアリは湿気が多く暗い場所を好むので、川や池から近い湿った土地や、換気口が少なく通気性が悪い家は注意が必要です。

柱の強度が弱まると地震が起きたときに家が倒壊する危険性があるので、専門業者に依頼をし、シロアリの駆除をしておきましょう。

 

6.家の構造に問題があるため

6つ目が、設計や施工のミスがあった場合や、地震でダメージを受けたり劣化したりしたりして、家の構造に問題があるためです。

設計のときに支える壁が足りなかったり、留め具がしっかり固定されていなかったりする人為的ミスにより、家が傾く原因になる場合があります。

また、大地震によって家の構造部分にひびが入ったり、柱や基礎、梁などが劣化または腐食したりすると、家をしっかり支えられなくなってしまいます。

家の構造が原因の場合は家をリフォームすることで解決できるので、まずは検査を依頼し、どの部分に欠陥があるか調べてもらうことをおすすめします。

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家の傾きや欠陥を放置するデメリット

家の傾きイメージ

続いて、家が傾いていることで受けるデメリットについてお伝えします。

家が傾いていることで受けるデメリットは次のとおりです。

  • 家の耐震性が弱まる
  • 健康被害が起きる
  • 生活に支障が出る

それではそれぞれ解説します。

 

家の耐震性が弱まる

家が傾いた状態だと、大きな地震に見舞われたときに、家が破損あるいは倒壊する危険性があります

家が傾いている状態を放置してしまうとだんだんと傾斜が大きくなり、地震が起きたときに大きな被害が出るリスクが高まります。

リフォームにお金をかけたくないという理由で、そのままにしてしまうと、災害が起きたときに安全性が確保できず、修繕に多額の費用がかかる場合があるため、事前に対処しておくことをおすすめします。

 

健康被害が起きる

家が傾いた状態で生活をしていると、平衡感覚が狂うことでさまざまな健康被害が起きてきます

平衡感覚が鈍ってしまうと、あまり動いてもいないのに何だか体が重い、食欲が落ちて体重が激減してしまったなど、体調に悪影響が出始めます。

次第に頭痛がひどくなったり、吐き気をもよおしたりするなど症状が悪化する恐れがあるため、なるべく早い段階で地盤改良工事や建物の改修をしましょう。

 

生活に支障が出る

家が傾いているとドアが開け閉めしづらい、きちんと閉まらない、鍵がかからないなど、生活にいろいろな支障が出てきます

ドアがきちんと閉まらないと室内に隙間風が入ってきて肌寒く感じ、快適に過ごせなくなります。

また、窓の鍵が閉められないと空き巣被害に遭うなど、防犯面で問題が起きるでしょう。

自宅を落ち着ける空間にするためにも、家の傾きが気になったときは早急に対処しましょう。

 

自分で家の傾きを調べる方法

家の傾きを調べるイクスプラン代表中嶋

ここからは、自分で家の傾きを調べる方法をお伝えします。

自分で家の傾きを調べる方法は次のとおりです。

  • 糸とメジャーを使って計測する
  • 水平器を使う
  • スマホアプリを使う
  • ビー玉を床に置く
  • 水を入れたコップを使う

 

糸をメジャーを使って家の傾きを調べる手順は以下のとおりです。

  • 5円玉または50円玉を糸(1m)に通して結ぶ
  • 1.を壁や柱にセロテープで貼り付ける
  • 壁から5円玉または50円玉までの距離を測り、何ミリ離れているか計測する

 

また、ホームセンターで水平器を買ってきて測ってみる、家の傾きを調べられるスマホアプリを使ってみる方法もあります。

あるいはビー玉を床に置いて勢いよく転がるか、水を入れたコップを置いて水面が斜めになっているか判断するのも1つの方法です。

しかし、この方法だと正確な角度が測れず、ビー玉が転がったり水が斜めになっていたりしても支障がない程度の傾きの場合もあります。

家の傾きをプロに調べてもらいたいときはどうすればいい?

家の傾きを調べるイクスプラン代表中嶋

自分で家の傾きを調べることもできますが、やはりプロに依頼してきちんと計測してもらった方が確実です。

専門知識があるプロに家の状態を検査してもらいたいときは、ホームインスペクター(住宅診断士)が在籍する建築事務所に依頼することをおすすめします。

知識や経験が豊富な建築士が家の検査をするため、家の傾きが基準内のものなのか、修繕が必要な状態なのかを確かめられます。

また、事前に検査をしておけば建物の欠陥がどの程度であるかがわかり、施工業者やリフォーム会社に見積もりを出してもらうときに役立ちます。

イクスプランでは、ホームインスペクションを行う資格を持つ建築士が常駐していますので、家の傾きが気になっている方はぜひお問い合わせください。

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家の傾きをプロに調査してもらうタイミング

家の傾きが気になっているけれど、プロに調査を依頼するかどうか迷っているという方は、ご自宅が以下の条件に当てはまるかチェックしてみてください。

  • 床が傾いているような感覚がある
  • 家具と壁に隙間が空いている
  • 壁や天井にひびが入っている
  • ドアが勝手に開いたり閉まったりする

こうした症状がある場合は家が傾いている可能性が高いので、検査を依頼することをおすすめします。

家が傾いた状態のまま過ごしていると、災害が起きたときに建物の被害が大きくなり、健康に支障が出る場合もあるため、早めに手を打っておきましょう。

 

家の傾きが気になったときはホームインスペクター(住宅診断士)に相談しよう

今回は家の傾きの許容範囲についてお伝えしました。

イクスプランでは、「既存住宅状況調査技術者」の資格を持つ建築士が在籍しています

家の傾きが正常の範囲であるかしっかり検査し、異常が見つかった場合はどの部分に欠陥があるかを徹底的に調査します。

また当社では、新築の工事の工程ごとに検査をする「あんしん工程検査」も承っております。

床が傾いていないか、留め具がしっかりと固定されているかなど、多くのチェック項目を1つずつ検査いたします。

家の傾きが気になっている方、新しい家で安心して住みたいと考えている方は、ぜひ当社へご相談ください。

 

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中嶋栄二 写真

記事監修:中嶋栄二
EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所代表。建築士でありながら住宅診断を行うなど、家にまつわる幅広いお悩みやご相談などに対応。年間100件以上の実績で皆様の住宅に関するお悩みを解決します。【資格等】一級建築士・耐震診断アドバイザー・住宅メンテナンス診断士・建物危険度判定士フラット35適合証明技術者など