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補助金

家の傾きを直すときに補助金は使える?適用される保証も紹介

地震や台風の被害で家が傾いてしまったときに、修理をしようとすると数百万円単位の費用がかかる場合もあります。

このような場合に、「災害で被害を受けたときは、国や自治体から補助金が出るのかな?」「どんな保険や保証が適用されるのだろう・・・」と気になった方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は

  • 家の傾きを直すときに受けられる補助金
  • 家の傾きを直す際に必要な工事と費用
  • 家の傾きを直すときに適用される保険

などについてお伝えします。

補助金や保険金、保証金が支給される事例や、傾いた家を直すのにかかる金額などがわかるため、ぜひ最後までご覧ください。

 

家の傾きを直すときに受けられる補助金について

住宅の補助金のイメージ写真

はじめに、家の傾きを直すときに受けられる補助金についてお伝えします。

大規模な災害が発生し、自宅が被害を受けた場合は、国や自治体から補助金が支給されます。

例えば「平成28年熊本地震復興基金」の「被災宅地復旧支援事業」では、家の傾きや地盤沈下の修復工事をした際、50万円から1,000万円の工事費のうち、2/3が補助金の対象となりました。

また、次の工事が補助金の対象となっています。

  • 住宅基礎の傾斜修復(家の傾き直し)工事
  • 地盤の復旧工事
  • 擁壁の撤去及び復旧工事
  • 液状化再度災害防止のための住宅建屋下の地盤改良工事

このように大地震や台風、土砂災害などの自然災害により自宅が傾いてしまった場合は、国や自治体の補助金を活用するようにしましょう。

補助金を受けるには、市町村の調査員による建物の調査を受け、「罹(り)災証明書」を発行してもらわなければいけません。

この罹災証明書は地震保険を利用するときにも必要なため、複数枚発行しておくとよいです。

なお、補助金の申請は1宅地につき1回のみなので、複数の工事が必要な場合はまとめて申請をするよう注意してください。

 

家の傾きを直す際に必要な工事と費用

床の傾きイメージ

家の傾きを直す際に必要な主な工事は次のとおりです。

  • 床材の貼り替え
  • 根太の修理
  • 地盤の改良

床材が腐敗していたりはがれたりして水平でない場合は、床材の貼り替えを行います。

床材の貼り替えにかかる費用は、合板フローリングで1㎡メートルあたり8,000円~9,000円ほどです。

床板を支える根太(ねだ)を交換する場合は、3万円~10万円ほどかかります。

地盤の改良には次の方法があります。

  • ジャッキアップ
  • ダブルロック工法
  • ウレタン工法

ジャッキアップは、建物全体を油圧ジャッキで持ち上げ、建物の土台と基礎を切り離し、土台と基礎のすき間をモルタルで塞ぐ方法で、費用は100万~200万ほどかかります。

ダブルロック工法は液状化した地盤に使われ、特殊な液剤を注入して土壌を固めていくもので、費用は300万円~500万円ほどです。

ウレタン工法は、薬剤の膨張力で地盤が沈下した部分を修正する方法で、費用の相場は200万円です。

 

家の傾きの被害認定基準

次に、家の傾きの被害認定基準についてお伝えします。

日本では「災害に係る住家の被害認定基準」が定められており、家の傾きの度合いにより「全壊」「大規模半壊」「半壊」「半壊に至らない(一部損壊)」の4種類に分類されます。

それぞれの分類の基準は下の表のとおりです。

家が傾いている度合い・角度
全壊 50/1,000以上または2.86度以上
大規模半壊 17/1,000~50/1,000
または0.95度以上2.86度未満
半壊 10/1,000~17/1,000
または0.57度以上0.95度未満
半壊に至らない(一部損壊) 外壁や基礎などに震災による破損が
目視で確認できる場合

このように家の傾き具合によって分類され、それぞれの区分によって支援金や義援金を受け取れる額が変わってきます。

 

家の傾きを直すときに適用される保証

家の傾きを直すときには、次の保険や保証を受けられる場合があります。

  • 地震保険
  • 地盤保証
  • 瑕疵担保責任

それぞれどのような場合に適用されるのか、保証を受けるときの条件について詳しくお伝えします。

 

地震保険について

地震保険に加入しておくと、地震によって住宅が大きな被害を受けたときに保険金が支払われます。

柱や壁など建物の損壊部分だけでなく、液状化現象による地盤沈下も保険の対象となります。

また、地震保険の場合は国が定める基準とは異なり、次の4種類に分類されます。

家が傾いている度合い・角度 最大沈下量
全損 17.7/1,000または1度以上 30cm以上
大半損 14/1,000~10/1,000または0.8度~1度 20cm以上30cm以下
小半損 8.7/1,000~14/1,000または0.5度~0.8度 15cm以上20cm以下
一部損 3.5/1,000~8.7/1,000または0.2度~0.5度 10cm以上15cm以下

地震保険の保険金の支払い額は、全損の場合は100%、大半損の場合は60%、小半損の場合は30%、一部損の場合は5%が支払われます。

なお、地震保険は火災保険とセットでないと加入できないため、火災保険の加入時に地震保険も併せて加入しておくことをおすすめします。

 

地盤保証について

地震・ひび割れのイメージ写真

地盤保証とは、新築工事を始める前に行う地盤調査の際に適用される保証のことです。

通常新築を建てる際は、地盤調査会社が建物に必要な地盤の強度を調査した後、建物を施工します。

万が一建物に一定以上の傾きが発生した場合は、地盤調査会社が地盤の修復工事費用を補償するというものです。

地盤保証を受ける場合は、建築会社を通して地盤調査会社に調査をしてもらうのが一般的なので、あらかじめ担当者に確認しておきましょう。

 

瑕疵担保責任について(売買契約の場合)

不動産を売買する際は、建物が傾いている、雨漏りを起こしているなどの瑕疵(かし)が見つかった場合、売主が責任を負う瑕疵担保責任があります。

基礎や土台の施工不良や、柱や壁の数が足りていないなどの設計ミスにより家が傾いてしまった場合に適用されます。

新築住宅は3/1,000以上、中古住宅は6/1,000以上傾いている場合に保証や損害賠償請求が可能です。

新築住宅の場合は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で、完成後の引き渡しから10年の間は瑕疵担保責任が適用されます。

ただ中古住宅の場合は、瑕疵担保責任の期限を3ヶ月など短い期間に制限している場合も多いため、契約書の記載事項を確認しておきましょう。

品確法「瑕疵担保責任」について
第94条 住宅の新築工事の請負人の瑕疵担保責任
第95条 新築住宅の売主の瑕疵担保責任
瑕疵保険は請負契約についてと売買契約についての2つありますので注意しましょう。

瑕疵保険特集!知らないと損をする!?

契約不適合責任について

契約時に売主から説明がなく、住宅の購入後に家の傾きやシロアリ被害などの欠陥がみつかった場合は、売主に対して契約不適合責任を追及することができます

新築住宅の場合は3/1,000以上、中古住宅の場合は6/1,000以上傾いていると、契約不適合となります。

事前に欠陥について知らされていなければ、売買契約の内容に適合していないことになるため、契約の解除や損害賠償を請求できます。

 

家の傾きを調べる方法

傾いた家のイメージ写真

最後に、家がどのくらい傾いているか調べる方法について紹介します。

家の傾きを調べるには、自分で計測する方法とプロに検査をしてもらう方法があります。

それぞれのやり方やメリットについてお伝えします。

 

自分で調べる

自分で家の傾きを調べる方法は次のとおりです。

  • 糸に小銭を結んで計測する
  • 水平器を使う
  • スマホアプリを使う

糸に5円玉か50円玉を結びつけ、壁にセロハンテープで貼り付けてみて、壁から小銭の距離を測って家の傾きがどのくらいか調べてみてください。

あるいは、水平器を買ってきて計測したり、家の傾きを調べられるスマホアプリを使ったりしてみるのもよいでしょう。

ただ、自分で計測をするときちんと確かめられない場合もあるので、不安な方はプロに依頼することをおすすめします。

 

プロに検査を依頼する

家の傾きを調べたい場合は、ホームインスペクション(住宅診断)を行う資格を持った建築士が在籍している建築事務所に依頼すると安心です

建築士にホームインスペクションをしてもらえれば、家の傾きが基準の範囲内なのかを正確に検査できます。

家の傾きが基準を超えている場合は、住宅のどの箇所に問題があるのかを調べられます。

家が傾いたままだと災害が起きたときに被害が拡大する恐れがあり、健康被害が生じる危険性もあるため、プロに依頼して不安を取り除いておきましょう。

イクスプランではホームインスペクションを承っており、検査実績も豊富にありますので、信頼できる機関に頼みたいという方はぜひご依頼ください。

 

家の傾きを直す前にまずはホームインスペクションを受けよう

住宅診断を行うイクスプラン代表中嶋

今回は、家の傾きを直すときに使える補助金についてお伝えしました。

家の傾きを直す場合は工事費が高額になる傾向にあります。

国や自治体の補助金、地震保険の保険金、地盤保証や瑕疵担保の保証を受け、自己負担を減らしてみてください。

また、家の傾きを修繕する前にホームインスペクションを受け、どの部分に欠陥があるかを調べておくことをおすすめします。

イクスプランでは、建物だけでなく周辺の地盤調査も行っております。

地盤の固さが十分であるかや、近くに崩れ落ちてきそうなブロック壁がないかをくまなく調べます。

また、水平器やレーザー測定器を使って各部屋の傾きを調査し、傾きの原因となる壁や柱のひび割れ、基礎の劣化などを細かくチェックいたします。

家の傾きがどの程度であるか調べたい、修理を依頼する前にどこに問題があるのか把握しておきたいという方は、ぜひ当社へご相談ください。

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  • (株)EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所
  • 住所:〒814-0121福岡県福岡市城南区神松寺3-14-20-1013
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中嶋栄二 写真

記事監修:中嶋栄二
EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所代表。建築士でありながら住宅診断を行うなど、家にまつわる幅広いお悩みやご相談などに対応。年間100件以上の実績で皆様の住宅に関するお悩みを解決します。【資格等】一級建築士・耐震診断アドバイザー・住宅メンテナンス診断士・建物危険度判定士フラット35適合証明技術者など