診断事例

屋根裏の雨漏り

イクスプラン代表、一級建築士の中嶋です。
今回は知って得する住宅購入時にチェックすべき最も重要ポイントの1つであります、住宅の「傾き」について説明をさせていただきます。

傾きの事例

「傾き」は非常に重要な部分であり、基本的には3/1000以内が正常な範囲ということになります。下記の画像を参考にしてください。

これが大きな傾きがあった場合、傾きを調整しようとすると、数百万から一千万円以上の費用がかかる場合もありますので、そもそも、その物件購入のレッドカードとも言えるので注意が必要です。

では「傾き」についての詳細を具体的に見ていきたいと思います。

許容範囲を超えた床の傾き

レーザー測定器

私ども、インスペクター(専門家)からしますと、上記の画像のような水平器およびレーザー測定器を使って正確に測ります。しかし、皆さんはそのような測定器などを常備しているわけではございませんので、目安になるような見方をお話させてもらえたらと思います。

傾きの確認

上記画像のレーザー測定についてお話し致します。

上記の右側の画像の柱付近に赤いビームのようなものが出ています。ビームを使うことにより水平線と柱との傾きが歴然とわかりますね。
このようなレーザー測定で、傾きがないかなどの判断をしています。

また左下の画像の水平器においては、緑色の中に水と気泡があり、ラインが2つあります。
このラインをはみ出すように水・気泡がずれたりすることで、建物が傾いているということがわかり、どの程度の傾きかがわかるという状態になります。

この傾きを正確にレーザー測定器にて数値化したりします。

水平器で傾きがない場合はどのようなことで傾きの目安にするかというと、上記左画像の襖や、片引などの引き違いなどを確認します。

画像では、襖の下は当たっていますが上は隙間がある事がわかる画像になります。

また、右側のメジャーで測っている画像のように、隙間が非常に開いていると言う場合があります。
そのような場合は、建具の戸車などが低かったり、高かったりすることが原因の傾きということもあります。

一概に傾きの原因はこれ!とは言えないのですが、全体的に、このような傾向があるということは、建物全体に傾きがある可能性が高いので問題視するべき事例です。

左側の画像は、洋室の真ん中あたりに位置するのですが、下の巾木とフローリングの間に、少しだけ隙間があるという状態です。
これは結論から言いますと梁がたわんでいることによって、画像のように床の真ん中の部分が下がっているという状態が見て取れるということです。

そして右側の画像は、本棚などに使う普通のカラーボックスであり既成品なのですがこのカラーボックスと壁に、隙間が空き、角度がついてしまっています。
これは、明らかに建物が傾いているということが見て取れるかと思います。こちらの建物は新築なのですが、新築でも安心は出来ないということになります。

やはり傾きというのは、建物が立派に建っていても下(土台)の状態が悪く基礎や地盤沈下などで傾いていたりすると、傾き自体を直すには相当の費用がかかるということになります。

土台が問題ということになるので注意をして建物診断をやっていかなくてはいけません。

建物の傾きを直す方法は大まかに2つに分かれます。1つは建物全体を高いほうに低い箇所を上げて調整する方法、もう1つは土台の傾きは扱わず、仕上げ面で調整する方法です。一般的には費用の関係もあり、後者で行うことが多いです。

屋根裏の雨漏りシミ跡

次に重要ポイントの2の雨漏れについての画像を見ていきたいと思います。

続いてポイント2『屋根裏の雨漏り、シミ跡』このようなことを見極めるのが大事になります。

雨漏りのシミ跡などを見過ごしているばかりに、いざ改善しようとしたときの費用が数百万円かかることがありますので皆さん注意が必要です。

それでは見ていきたいと思います。

まず、下記の画像は保険事故についての画像であり、保険会社からいただいた資料になりますので、とても参考になると思います。
画像のように保険事故の95.6%が雨漏り原因ということで報告が上がっています。
雨漏れが、いかに建物の寿命を奪ってしまうかが分かりますね。

ところで、陶器瓦で葺いた屋根は耐久性があり、丈夫だから半永久的に保つ!と思っていませんか!?
確かに、信州瓦や石州瓦は1000度以上の高温で焼いた丈夫なもので、それ自体は雨なども通さず半永久的なものと言っても良いでしょう。
ですが、雨漏れのない屋根を作るにはその下に敷く防水シートが最も重要となります。
この防水シートと屋根材がともに健全であって初めて、雨漏れのない安心できる屋根となるわけです。
ですので防水シートの傷み具合によっては、いくら瓦が丈夫であっても一旦、瓦を剥がないといけない場合がある事を理解し知っておく必要があります。

屋根裏の雨漏れシミ跡

上記、左側の画像ですが部屋の中から天井を見上げると雨漏れのシミ跡などが見受けられる場合があります。

目視をする場合は、目線だけの高さだけではなくて見上げたり、さまざまな角度から天井の状態を見ていくとことが必要になります。

左側の画像の場合は、屋根の雨漏りなどの可能性が非常に高いのです。

右側の画像は出窓のところの「ひさし」になります。ひさしの中には板金が入っていますが、板金の収まりが十分ではないために雨が降ったときに、画像のように滲み上がってくるのです。

この画像は、板金の収まりが原因でできたシミ跡だと思われ、やはり裏に隠れている木材が当然、水を含んだりするわけなので、劣化不朽が進んでくる可能性が高いということになります。

次の画像ですが、先ほどの雨漏れをしていた天井裏に入ってみますと、画像のような状態でした。

先ほどの天井にシミがあるということは、その上の屋根裏が天井より、さらにひどい状態になっている可能性が高いということが、お分かりいただける画像かと思います。

屋根裏を見ると、上記画像のような状態になっていました。

このような状態になってきますと、板材はもちろん「当然」なのですが、ひどい場合になると構造材などまで、劣化腐朽が進んでいて、大規模な改修を余儀なくされることにもなりかねません。
当然費用は、数百万という金額が掛かるということになります。

また右側の画像はベニヤ板です。

合板関係なのですが雨水が沁みてきてベニヤにコシがなくなり腐ってきているという状態になります。