施行不良の影響について

皆さん、お元気ですか。

最近は、朝・夕だけでなく、日中もだいぶ過ごしやすくなりましたね。

さて、今日は、最近一戸建てが完成した方のお問合せについて皆さんに御紹介したいと思います。

新築を今から考えている方やそのほかの方にもかなり参考になると思ういますので、少し文面は長いですが最後まで目を通して頂ければと思います。

話は、家を建てる際に着工から完成までの間に、弊社へ第三者検査(工程検査)の依頼を頂き、いろいろ指摘をさせて頂いたのですが検査して報告書をあげるごとにショックを受けられたようでした(・_・;)。

完了後、依頼された方からもし、「そのまま見逃してた場合どうなったかを知りたい」との相談があり、皆さんにも参考になると思いましたので、ここで紹介したいと思います。

ちなみに、施行会社は評判は上々の割とこだわりをもっている会社です。単価的には高めの設定です。また、取り組みについては手を抜こうとする姿勢は感じられません。

それでは、ご覧ください。(添付でPDFでも見れますのでご活用ください。)
施行不良による影響について

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施行不良による影響について

イクスプラン様お世話になっております。

これまで我が家を建てるにあたって工程検査を行って頂き、毎回貴重なご指摘をして頂きありがとうございます。

多数ご指摘頂きましたが、私としてはその中でも、以下の指摘項目についてこれらの不良箇所が見過ごされていた場合の建物への影響について

特に、下記①~⑤の及ぼす影響について、正確に知りたいと思っています。

この5点は重大な施行不良ではないかと感じております。

そこでお願いなのですが、下記①から⑤が指摘されずに、そのまま建築されていた場合、将来的にどのような影響があるか各項目ごとに詳しく教えて頂けないでしょうか?

また、下記①~⑤の他にも重大な施行不良がありましたら、それについても教えて頂けましたら幸いです。

以下、宜しくお願いします。
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●①土台を固定するナットが締まってなかったり、アンカーが土台天板より出ていたり、ボルトの頭が出ていない、ナットそのものがない箇所があった。

 

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(指摘箇所に関する解答)
>アンカーの固定は、基準法で適切に固定することが求められています。アンカーが土台天端より突出していると床の下地合板が土台と密着することが出来ず一部浮いた状態になり、仕上げにまで影響する場合があります。

>ボルトの頭がナットよりも出ていない場合、固定力が不充分の可能性があります。ナットそのものがない事は、そもそも強度の基準を満たしていないことになり、実害が出る場合があると思われます。

>いずれのケースも、現基準において不充分の為強度不足であったり、仕上の施工精度を低下させる要因となります。

>今回の事象は、指摘内容としては複数ありましたが、その箇所数は1か所程度ずつであり、全体に与える影響は少なかったものと考えます。これらの事象が至る所に見られる場合は、建物の強度や傾きなどの劣化に大きく影響してくる可能性が高くなります。
(耐震性能の考え方については、現在有力でありまた、基準法に基づいたものをベースにコメントをしております。)

●②土台の仕口で充分打ちこまれていなくて段差になっている箇所が比較的多く見られた。

 

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(指摘箇所に関する解答)
>打込み不足による段差は、その後の下地合板から仕上材に至るまでのすべてに影響し、不陸が起きる等の原因になります。これを直そうとしても、仕上った状態で直すのは困難となります。

>入居者にとっては、気づかない範囲かも知れませんが、長く生活する中での経年劣化と称する事象はこれらの総合的な影響に依るところも大きいと考えています。

●③柱脚を固定するビスが打たれていない箇所があった。

 

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(指摘箇所に関する解答)
>ビスの打ち忘れが全体のほんのごく一部であれば、当初の状態に影響は気づかない程度だと思われます。構造金物の配置や量については、余裕を持ったものであれば影響は少ないですが、必要な配置に適切に固定することが求められます。

●④水平強度を維持する重要な箇所の火打ち金物のナットが締め付けられていない箇所があった。

 

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●⑤強力な構造金物が必要な箇所のホールダウンのナットが締め付けられていなかった。

 

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(指摘箇所に関する解答)
>これらの項目は、たとえ1箇所でも重要な部分であり、建物の構造への影響は大きいと考えます。
(質問)
もしそのまま建築されていても、完成時の検査では異常はなく、長期間経過して特に地震などがあった場合に、家の変形や傾き、気密・断熱機能の低下やそれに引き続く居住環境の悪化などが引き起こされ、資産価値も低下する危険があったのではないでしょうか?

(指摘内容に関する解答)
>地震や台風・大雨などのない平穏な時では殆ど判りませんし、長い時間を経過しないと影響が出ないことも多いですから、工事途中の検査を行ってなければ建物に不具合が出た時に、何が原因なのか具体的には判らない場合が多いと思われます。

>総じて当該物件の施工内容は、指摘箇所の手直しを行い結果的には標準以上のものになっていると考えます。

>ただ、この標準というのは私が見てきた中での判断で言うならば、第三者検査機関を入れずに行っている場合、多くがそれ以下の評価と言えるでしょう。

>10年以上経過したもので、いろいろ不具合が出てくる原因は、もとからあった欠陥や施工不良である場合が多いと思われます。このことは、新築物件・工事工程検査・中古物件の診断等数多く携わってきた中での私の印象です。

>施工不良が原因で不具合や欠損が発生する事象は、何も数年後だとは限りません。場合によっては、数十年後に出る事もあります。これらを今までは、ざっくりまるっと「中古物件ですからねぇ~」で片づけてられてしまいます。当事者も特に知識や不具合の根拠や原因など判らない場合が多いので、「そんなもんかなぁ~」と妙に納得してしまう。

施工に問題のない住宅は、こまめに手入れしていけば三世代程度は充分もつものです。

その為には、基本的な施工内容がしっかりしたものであることが前提条件となります。

対策としては、今回のような新築時の第三者による工程検査が有効だと考えます。

子や孫に受け継ぐことが可能な物件であれば、定期的なメンテナンス費用は必要ですが、生活に必要な費用を大きく軽減でき、したい事・やりたいことへ回すことが出来て家族がより幸せになれると思います。

ただ、基本は居住者の建物に対する愛着とこまめなメンテナンスが必要なことが前提です。これからも家族がいつまでも幸せに包まれる住まいであり続けることを願っています。

 

 

 

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