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この記事では、耐震基準適合証明書を発行する費用の相場についてご紹介します。
耐震基準適合証明書の発行を検討するときに気になるのが、発行にかかる費用ですよね。
そこで今回は、発行にかかる費用の相場と共に、取得方法や取得に必要な書類など耐震基準適合証明書について詳しく解説しました。
耐震基準適合証明書について詳しく知れば、費用への不安も解消されます。耐震基準適合証明書の発行を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
耐震基準適合証明書とは?
耐震基準適合証明書とは、建物が建築基準法で定められた現行の耐震基準を満たしていることを証明する書類です。現在の耐震基準は、新耐震基準と呼ばれ、昭和56年(1981年)6月1日以降に建築確認申請が受理されている建物は新耐震基準を満たしています。
この新耐震基準を満たしている建物であることを証明するのが、耐震基準適合証明書です。
耐震基準適合証明書自体は、平成17年の税制改正時に新しくできた証明書となっています。
耐震基準適合証明書の発行にかかる費用の相場を解説!
耐震基準適合証明書を発行する費用の相場としては、一般的に耐震診断には約10万円、証明書発行費用に約5万円かかるとされています。合計で15万円ほどかかると考えておくとよいでしょう。
どこに依頼するのかによって費用は異なるため、依頼する前に発行にかかる費用の目安を調べ、比較しながら依頼することがおすすめです。
弊社「イクスプラン」では、耐震診断は60000円、証明書の発行は15000円で行っています。お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。
また、耐震診断後に耐震性に問題が見つかれば、耐震補強工事が必要となる可能性があります。耐震リフォームを行うことになれば、工事費用もかかることを理解しておきましょう。
耐震基準適合証明書を発行する方法とは?どこで取得できるの?
耐震基準適合証明書を発行するには、建築士事務所登録をしている建築士に発行を依頼する必要があります。
建物によっては、一級建築士しか設計又は工事監理できないことがあるため、全ての建築士が発行できるとは限りません。一級建築士しか耐震基準適合証明書を発行できない建物もあります。
また、耐震基準適合証明書を発行できるのは、建築士だけではありません。
- 指定確認検査機関
- 登録住宅性能評価機関
- 住宅瑕疵担保責任保険法人
この3つの機関でも耐震基準適合証明書を発行できます。まずは、建築士に相談し、耐震診断依頼をしたら、あとは現地調査や耐震診断を行ってもらい、発行という手順です。
耐震基準適合証明書を発行してもらうには、建物を引き渡してもらう時点で、耐震性が基準を満たしていなければいけません。
耐震基準適合証明書の申請を行った後に、耐震診断を経て、発行となるため、調査時間を含めると、発行には1ヶ月から3ヶ月ほど時間がかかる場合があります。
耐震性が基準を満たしていないときには、耐震リフォームが必要となり、工事期間として1ヶ月から3ヶ月プラスで時間がかかることもあるため、申請は早めに取り組みましょう。
また、耐震基準適合証明書の有効期限は、現地調査を行った日から2年間と定められています。耐震基準適合証明書の発行日から2年ではないので、注意しましょう。
耐震基準適合証明書の発行に必要な書類とは?5つの書類を準備しよう!
耐震基準適合証明書を発行するには、どのような書類を準備すればよいのでしょうか。
- 耐震基準適合証明申請書仮申請書
- 土地・建物の謄本 (検査登記事項証明書写しや建物登記事項証明書の写し)
- 建築確認年月日の分かるもの(台帳記載事項証明書や検査済証の写しなど)
- リフォームや増築をされたかどうかを確認できるもの(物件状況等報告書など)
- 物件全体の作りが分かるもの( 販売図面など)
耐震基準適合証明書を発行する際には、この5つの書類を準備しましょう。旧耐震基準で建てられたマンションの場合は、重要事項調査報告書も必要となります。
耐震基準適合証明書申請書仮申請書とは、仮申請の申込用紙です。特に決まった形式があるわけではなく、各社で申し込み用紙が準備されていることがあるため、建築士に相談してみるとよいでしょう。
国土交通省のホームページからもダウンロードできます。記入例もあるため、自分で準備するときには国土交通省のホームページからダウンロードするのもおすすめです。
検査済証は、住宅の完了検査が終わったときに合格した証として発行されます。住宅を建てるときに検査済証が必須となったのは、2000年以降であり、それ以前に建てられた住宅の場合は発行されていないことがあるため注意しましょう。
検査済証が無いときには、耐震診断予備診断書などの証明書の発行が必要となるケースもあります。
耐震基準適合証明書はなぜ必要?証明書を発行する3つのメリットとは?
そもそもどうして耐震基準適合証明書は必要なのでしょうか。耐震基準適合証明書を発行すると、耐震性を証明できるだけではなく、築年数の要件を緩和できます。
つまり、建物に耐震性があることが分かれば、築年数が要件以上であってもOKになるということです。築年数要件をクリアできることで、3つのメリットがあります。
ここからは耐震基準適合証明書を発行することで得られる3つのメリットについて詳しく見ていきましょう。
住宅ローン控除が適用できる
住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで住宅を購入した場合に、条件を満たしていれば所得税の控除を受けられる制度です。
住宅ローン控除を受けられる条件の一つに築年数があり、住宅ローン控除を受けるためには、非耐火住宅(マンションなど)の場合は築20年以内、耐火住宅(木造住宅など)は25年以内でなければいけません。
購入する住宅が住宅ローン控除を受ける条件で定められた築年数を満たさなくても、耐震基準適合証明書があれば、住宅ローン控除が適用となります。
耐震基準適合証明書があれば、中古住宅でも住宅ローン控除が適用されるため、中古住宅購入の際には、耐震基準適合証明書の発行を検討しましょう。
中古物件の登録免許税を減税できる
中古物件を購入する際、元々所有していた人から登記を移すことになります。登記移転を法務局で申請するときに、登録免許税という税金を新しい所有者が支払うことが必要です。
耐震基準適合証明書を発行することで、この登録免許税を減税できます。
中古物件の登記移転での登録免許税を減税するには、住宅家屋証明書が必要です。この住宅家屋証明書は、築年数が20年を超える場合に発行できません。
しかし耐震基準適合証明書があれば、築年数が20年を超えていても住宅家屋証明書を発行できるようになり、登録免許税の減税が可能となります。
中古物件の不動産取得税を減税できる
中古物件を購入すると、不動産取得税がかかります。昭和57年1月1日以降に建てられた建物は、減税対象となっていますが、それより前に建てられた建物は減税対象ではありません。
しかし耐震基準適合証明書があれば、昭和57年1月1日より前に建てられた建物でも減税対象になります。
耐震基準適合証明書を発行する時の3つの注意点
耐震基準適合証明書を発行する際には、3つの点に注意しましょう。3つの注意点について解説します。
耐震基準適合証明書は必要なのかを検討する
耐震基準適合証明書を発行するときには、まず本当に必要なのかを検討しましょう。住宅ローン控除は、非耐火住宅)の場合は築20年以内、耐火住宅の場合は25年以内が対象となっているため、この築年数以内なら有効です。
住宅性能評価書があるなら、耐震基準適合証明書は必要ありません。住宅性能評価書の等級が1級以上なら、耐震基準を満たしていることが証明できるからです。
耐震基準適合証明書が無いと思っていても、住宅を元々所有していた売主が耐震基準適合証明書を持っていることも考えられます。売主が耐震基準適合証明書や住宅性能評価書を持っているなら、自分で発行しなくてもよくなり、発行の費用もかかりません。
耐震基準適合証明書の発行には、費用がかかります。耐震基準適合証明書の発行をする前に本当に必要なのかを確認することが大切です。
耐震基準適合証明書を取得するなら発行は引き渡し前がよい
耐震基準適合証明書を取得するタイミングとしては、中古住宅の引き渡しが行われる前に受けとることがおすすめです。
耐震リフォームが必要ない中古住宅で耐震基準適合証明書を発行する場合、住宅の引き渡し日の2年以内に耐震性能を証明する調査が終わっていなければならないと定められています。つまり、引き渡し日には調査が終わり、耐震基準適合証明書がなければいけません。
引き渡しまでに耐震基準適合証明書が必要となるため、中古住宅を購入する際には、売主に耐震基準適合証明書の発行を相談しましょう。
耐震リフォームが必要な中古住宅は、入居日までに耐震基準適合証明書を発行すれば、住宅ローン控除などの減税を受けられます。耐震リフォーム工事に時間がかかることもあるため、早めに準備を始めましょう。
各種減税を受けたいというときには、耐震基準適合証明書を取得するタイミングを考え、売主との交渉や早めの準備などを行うことが大切です。
発行できない時には既存保険付保証明書で代用も検討する
住宅ローン控除などの減税を受けるために、耐震基準適合証明書の発行を検討することがありますが、中古住宅で耐震基準適合証明書を発行できないこともあります。
旧耐震基準で建てられた建物は、新耐震基準を満たしていないことが多く、耐震基準適合証明書を発行するには耐震リフォームが必要となるのです。
耐震リフォーム費用の負担が大きい場合には、耐震基準適合証明書の発行を諦める人も少なくありません。
耐震基準適合証明書の発行が難しいときには、既存住宅売買瑕疵保険への加入を検討しましょう。既存住宅売買瑕疵保険は、建物に欠陥が見つかった場合にお金が下りる保険です。
既存住宅売買瑕疵保険に加入するときには、住宅診断が行われるため、耐震基準を確認できます。耐震基準適合証明書の発行ができないときでも、既存住宅売買瑕疵保険には加入できるということもあるため、減税を受けたい人は保険への加入も考えるとよいでしょう。
まとめ
今回は、耐震基準適合証明書を発行する費用について解説しました。
耐震基準適合証明書を発行するには、耐震診断に約10万円、証明書発行費用に約5万円かかります。耐震基準適合証明書を発行する費用の相場としては、15万円ほどと考えておくとよいでしょう。
耐震基準適合証明書の発行には費用がかかりますが、耐震基準適合証明書を発行することで、住宅ローン控除などの減税を受けられるようになります。
耐震基準適合証明書を発行するときには、本当に発行が必要なのかを見極め、必要なときには早めに準備をしましょう。
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- (株)EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所
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- 記事監修:中嶋栄二
- EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所代表。建築士でありながら住宅診断を行うなど、家にまつわる幅広いお悩みやご相談などに対応。年間100件以上の実績で皆様の住宅に関するお悩みを解決します。【資格等】一級建築士・耐震診断アドバイザー・住宅メンテナンス診断士・建物危険度判定士フラット35適合証明技術者など