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耐震基準適合証明書を発行するメリットとは?取得方法も徹底解説

この記事では、建物が耐震基準を満たしていることを証明する耐震基準適合証明書を取得するメリットや取得方法についてご紹介します。

マイホームは大きな買い物なので、税金の控除を活用して少しでも金銭的な負担を減らしたいですよね。

住宅に対して控除を受ける際、「耐震基準適合証明書」が必要になる場合がありますが、どのようなものかよくわからないという方も多いと思います。

そこで今回は、

  • 売主と買主が耐震基準適合証明書を取得するメリット
  • どこに耐震基準適合証明書の発行を依頼すればいいのか

などについてお伝えします。

耐震基準適合証明書を取得する方法や注意点がわかるので、住宅の購入または売却予定の方は最後までご覧ください。

耐震基準適合証明書とは

まず始めに、耐震基準適合証明書について解説します。

耐震基準適合証明書とは、建物の耐震性が建築基準法で定められている基準を満たしていることを証明する書類です。

いわゆる住宅ローン減税や、売主から買主に建物の所有権を移す際に発生する登録免許税など、税金の控除を受けるのに必要な場合があります。

なお、耐震基準適合証明書を発行するには、住宅の耐震診断を受け、建物が耐震基準を満たしているか耐震診断に必要な資格を持つ建築士に調査してもらう必要があります。

売主が耐震基準適合証明書を取得する3つのメリット

次に、不動産会社や個人の売主が耐震基準適合証明書を取得するメリットについて解説します。

1.買主に安心感を与えられる

メリットの1つ目が、耐震基準適合証明書によって建物の安全性を提示でき、買主の不安を和らげられることです。

地震が多い日本では建物の耐震性は重要なポイントのため、住宅を購入予定の方も地震に強い丈夫な物件を探している方が多くいます。

そんな方々に耐震基準適合証明書によって建物が十分な耐震性を備えていることを証明できれば、安心して暮らせると感じてもらえ、物件の成約に繋がる場合もあります。

 

2. 相場よりも高い値段で販売できる可能性が高まる

メリットの2つ目が、耐震基準適合証明書を取得していることで、相場よりも高額で建物を販売できる可能性があることです。

先ほどお伝えした通り、耐震基準適合証明書によって建物の安全性をアピールできるので、他の物件よりも購入希望者が集まりやすくなります。

そうすると相場より高い値段で販売しても買い手が付くこともあるので、その場合証明書を取得せずに販売するよりも利益が多くなります。

また、耐震基準を満たした物件であれば耐震基準適合証明書の発行にかかる費用だけで済み、低コストで物件のメリットをアピールできるのもポイントです。

 

3. 契約後の買主とのトラブルを防げる

メリットの3つ目が、耐震基準適合証明書により建物が耐震基準を満たしていると明示でき、入居後に買主とのトラブルを防げることです。

契約前に物件の規約について買主に説明したにも関わらず、入居後に契約内容や修繕費用に関するトラブルが起きるケースもあります。

こうした事態を防ぐため、建物の耐震診断を受けて耐震基準適合証明書を取得し、安全性を提示できるようにしておくのがおすすめです。

そうすることで、「建物に問題がある物件を買わされた」などというクレームに毅然と対処できます。

 

買主が耐震基準適合証明書を取得する3つのメリット

続いて、住宅を購入する買主が耐震基準適合証明書を取得するメリットについて解説します。

1.住宅借入金等特別控除を受けられる

1つ目のメリットが、いわゆる住宅ローン減税と呼ばれる住宅借入金等特別控除を受けられることです。

住宅借入金等特別控除とは、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除してもらえる制度です。

住宅ローンは家計にとって大きな出費となるので、制度を上手く活用して支出を減らしましょう。

なお、2022年(令和4年)度の税制改正により、建物の登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降であれば新耐震基準に適合しているとみなされ、耐震基準適合証明書の提出が不要となりました。

 

2. 改修費用を売主に負担してもらえる場合がある

メリットの2つ目が、契約前の調査で問題が発覚した場合、改修にかかる費用を売主に負担してもらえる可能性が高いことです。

耐震基準適合証明書を取得するには、資格を持つ建築士による耐震診断を受け、建物が耐震基準を満たしているか検査してもらう必要があります。

その検査で建物の耐震性に問題があった場合、物件の契約前であれば修繕費用を不動産会社や個人の売主に負担してもらいやすくなります。

契約して入居後に問題が見つかると、修繕費用が自己負担となってしまう場合もあるので、必ず契約前に耐震基準適合証明書の発行を依頼しておきましょう。

 

3. 税金が免除・減税される

メリットの3つ目が、登録免許税や贈与税、不動産取得税といった税金が免除または減額されることです。

それではそれぞれ詳しく解説します。

 

■登録免許税の軽減
住宅を購入するときには、売主から買主に建物の所有権を移転する「所有移転登記」を行います。
住宅ローンを利用する場合、買主が返済できなくなったときに、土地や建物を差し押さえて競売にかけることができる抵当権を金融機関が登記します。
これらの登記を行う際に発生するのが、登録免許税です。
耐震基準適合証明書を取得しておくと、この登録免許税が軽減されます。

 

■贈与税の非課税
住宅を購入する際、祖父母や両親などから購入資金を援助してもらう場合は、通常贈与税の対象となります。
ただし、耐震基準適合証明書を取得しておくと、条件によっては贈与税が免除される場合もあるので、家族から資金援助を受ける予定の方はチェックしてみてください。

 

■不動産取得税の軽減
住宅を購入すると不動産取得税が課される物件もあります。
この不動産取得税も、耐震基準適合証明書を取得しておくことで軽減できます。
なお、法改正により昭和57年1月1日以降に建築された住宅であれば新耐震基準を満たしているとみなされ、証明書を発行しなくても減税を受けられます。

耐震基準適合証明書の発行はどこに依頼すればいいの?

この章では、耐震基準適合証明書の発行の依頼場所について解説します。

耐震基準適合証明書を発行できるのは下記の通りです。

  • 建築事務所
  • 指定確認検査機関
  • 登録住宅性能評価機関
  • 住宅瑕疵担保責任保険法人

耐震診断の資格を持つ建築士が在籍している建築事務所であれば、耐震基準適合証明書を発行できます。

イクスプランでは診断実績が豊富な建築士が常駐していますので、耐震基準適合証明書が必要なときはぜひご依頼ください。

その他国土交通省が指定した指定性能評価機関や、建物の欠陥である瑕疵(かし)が見つかったときの保険を扱う保険会社に依頼する方法もあります。

耐震基準適合証明書を取得するまでの流れ

ここからは、耐震基準適合証明書の発行を依頼してから取得できるまでの流れについて解説します。

耐震基準適合証明書を取得するまでの手順は下記の通りです。

  • 不動産会社や個人の売主へ許可を取る
  • 診断に必要な書類を用意する
  • 業者に耐震診断を依頼し、日程調整をする
  • 現地調査を実施
  • 診断結果が送付される
  • 耐震基準適合証明書の発行

耐震基準適合証明書を発行を依頼する際は、必ず売主の許可を取ってから依頼しましょう。

また、現地調査の日程を決めて証明書が発行されるまで時間がかかるので、余裕を持って早めに依頼するのがおすすめです。

万が一基準に適合しなかった場合は、業者や売主に建物の改修工事を依頼し、再度診断を受けて適合すれば証明書を取得できます。

建物の登録免許税の控除を受けたい場合は、耐震基準適合証明書が必要になるので、リフォームをして新耐震基準に適合できるようにしておきましょう。

耐震基準適合証明書の取得に関する4つの注意点

最後に、耐震基準適合証明書の取得に関する注意点について解説します。
証明書の依頼をする前に必ずチェックしておいてください。

1.適合するのに改修工事が必要となる物件もある

1つ目が、建物の耐震診断を実施した結果、耐震性が基準に達しておらず、改修が必要になる物件もあることです。

改修工事は大きな出費となる場合が多いので、耐震基準に適合しなかったときのことも想定しておきましょう。

築年数が経っている中古住宅の他、築年数が浅くても新耐震基準に適合しない場合もあるため注意が必要です。

 

2. 建物の引き渡し前に手続きを済ませておく

2つ目が、耐震基準適合証明書の発行を建物の引き渡し前に済ませておくことです。

耐震基準適合証明書は、建物の登記以前の日付でないと発行できないため、引き渡し前に建物の診断まで完了させておく必要があります。

証明書を発行していないと税金の控除を受けられないものもあるので、早めに依頼をしておきましょう。

 

3. 耐震基準適合証明書の取得が不要な物件もある

3つ目が、耐震基準適合証明書がなくても住宅ローン減税などを受けられる物件もあることです。

税制改正により、昭和57年以降に建てられた建物であれば耐震基準を満たしているとみなされるため、耐震基準適合証明書がなくても控除を受けられるものもあります。

特に劣化が少なく耐震性の高い建物であれば、耐震診断を受けて証明書を発行する必要性は低くなります。

ただし、建物の耐震性は調査をしてみないとわからないので、安心して住み続けるためにも一度診断を受けておくのがおすすめです。

 

4. 引き渡しの翌年に確定申告が必要になる

4つ目が、税金の控除を受ける場合は、引き渡しをした翌年に確定申告をする必要があることです。

住宅ローン減税など住宅の購入に係る控除を受けるには、耐震基準適合証明書を発行するだけでなく、確定申告も行わないと適用されません。

なお、確定申告は引き渡しをしてから2年間の猶予があるので、引き渡しの翌年に申請しなかった場合はその次の年に行えば間に合います。

また、税制度は頻繁に変わるので、確定申告をする際は税務署に行って確認するのがおすすめです。

 

耐震基準適合証明書の発行は建築事務所に依頼しよう

今回は、耐震基準適合証明書を取得するメリットや方法についてお伝えしました。

住宅の耐震性を調査し、安全性を証明する耐震基準適合証明書の発行は、きちんとした検査を行ってくれる業者に依頼するのが重要なポイントです。

イクスプランでは、耐震診断の資格を持った建築士が調査を行っており、検査項目をくまなく確認します。

耐震診断証明書の発行が必要な方は、ぜひイクスプランへご依頼ください。

 

 

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中嶋栄二 写真

記事監修:中嶋栄二
EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所代表。建築士でありながら住宅診断を行うなど、家にまつわる幅広いお悩みやご相談などに対応。年間100件以上の実績で皆様の住宅に関するお悩みを解決します。【資格等】一級建築士・耐震診断アドバイザー・住宅メンテナンス診断士・建物危険度判定士フラット35適合証明技術者など