目次
住宅展示場や分譲地に建てられているモデルハウス。
モデルハウスは住宅の購入を検討している方に向けて作られるものですが、公開期間が終わってから通常より低価格で販売されるケースもあります。
しかし、モデルハウスを購入してがっかりした、モデルハウスを買わなければ良かったといった声も挙がっています。
そこで今回は
- モデルハウスを購入して失敗・後悔した事例
- モデルハウスの購入後に失敗・後悔しないためのコツ
- モデルハウスの購入前に確認すべきチェックリスト
についてお伝えします。
購入する際に注意すべき点がわかるので、モデルハウスの購入を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
住宅展示場や分譲地に建てられているモデルハウスについて
まずモデルハウスについて簡単に解説します。
モデルハウスは、ハウスメーカーや工務店が住宅の購入を希望する方のために建てた、いわゆる体験型の見本物件です。
通常モデルハウスは公開期間が終了すれば取り壊されますが、建て替えや解体・撤去費用を抑えるために販売用に建てられたモデルハウスもあります。
モデルハウスは建物が建ってから期間が経ち、見学客などが出入りしていることもあり値引きされることがほとんどです。
売り出される際は抽選が行われることが多く、最新の設備が整っていて通常より価格が安いモデルハウスは、応募が殺到して倍率が高くなる傾向にあります。
住宅展示場のモデルハウス
住宅展示場のモデルハウスは、最新の設備やデザインを披露することを目的として建てられているため、通常一定期間を過ぎると新しいものに建て替えられます。
ただ一部のハウスメーカーでは、モデルハウスを建て替える際に既存の建物を購入希望者に抽選で販売を行っています。
住宅展示場のモデルハウスを購入する際は、展示場に建てられた建物を一度解体して別の土地で建て直さなければいけないため、自分たちで土地を用意する必要があります。
なおモデルハウスを再建築するときには、土地の広さや購入者の希望に合わせ、間取りや広さを変更できるケースもあります。
分譲地のモデルハウス
分譲地のモデルハウスは、他の建売住宅と同じように分譲地に建てられ、
同じ分譲地内の物件がすべて売れてから、あるいは一定期間が経過してから販売されます。
分譲地に建てられているため、土地とセットで購入できますが、利便性が良い土地だと抽選の倍率が上がり、当選が厳しくなります。
モデルハウスを購入して失敗・後悔した8つの事例
次に、モデルハウス購入者が住み始めてから買わなければよかったとがっかりしたケースについてお伝えします。
モデルハウスを購入して失敗・後悔した事例は次の通りです。
- 購入した住宅が欠陥住宅だった
- 傷や汚れが多く修繕しなければいけなかった
- 生活しにくい間取りだった
- 断熱性が低い建物だった
- 日当たりが悪かった
- 不要な設備や装飾があった
- 瑕疵担保責任の対象外だった
- 立地が悪かった
それでは1つずつ解説します。
1.購入した住宅が欠陥住宅だった
1つ目が、購入したモデルハウスが欠陥住宅だったケースです。
建物の壁や基礎部分に大きなヒビが入っていた、ドアや窓の建て付けが悪く開閉しにくいなど、建物に欠陥が見つかる場合もあります。
見た目がきれいなモデルハウスでも、手抜き工事や設計ミスなどで建物に問題があるものも見受けられます。
建物に欠陥がある状態を放置していると、地震や台風などの災害に見舞われたときに被害が大きくなる危険性が高まります。
ホームインスペクション(住宅診断)を受けて修繕が必要な箇所を調べ、ハウスメーカーや施工会社に修繕を依頼しましょう。
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2.傷や汚れが多く修繕しなければいけなかった
2つ目が、モデルハウスの壁や床、設備に傷が付いていたり汚れが付着していたりするケースです。
モデルハウスは建てられてから1年〜5年ほど経過しているものが多く、多くの人が見学をしているため、傷や汚れが付いている場合も多くあります。
また宿泊体験を行っている物件は、水回り設備や家具、家電製品が使用済みの場合があり、故障していたり汚れが気になったりすることも考えられます。
これらの修繕費や買い替える際の購入費がかさみ、新築物件を購入する場合と同じくらいの費用がかかってしまったという方もいます。
モデルハウスを購入する際は、あらかじめ物件の修繕費にいくらかかるのか見積もりを出してもらい、予算内に収まるか確認しておきましょう。
3.生活しにくい間取りだった
3つ目が、モデルハウスの間取りが自分たちの生活スタイルに合っておらず、生活しにくく感じるケースです。
モデルハウスは見本となる物件のため、多くの方が暮らしやすい間取りにはなっています。
しかし、子どもの人数に対して部屋が少ない、落ち着いて仕事ができるスペースがないなど、自分たちにとっては不便に感じるといった場合もあります。
モデルハウスの購入を検討する際は物件の間取りも考慮し、自分たちの生活様式に合うかどうかも考えましょう。
4.断熱性が低い建物だった
4つ目がモデルハウスの断熱性が低く、快適に過ごせないといったケースです。
モデルハウスには天井が吹き抜けになっているものなど、おしゃれなデザインのものも数多くあります。
しかし吹き抜けになっていると、部屋の中の空気を温めたり冷やしたりするまでに時間がかかってしまいます。
そのため冬は寒く夏は暑く感じ、暖房や冷房を多く使うため光熱費も高くなってしまいます。家を購入する際は、見た目だけでなく断熱性も意識して建物の構造をチェックしましょう。
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5.日当たりが悪かった
5つ目がモデルハウスの日当たりが悪く、部屋の中が暗いといったケースです。
展示中は電気が付けられているため明るく見えていても、実際は日当たりが悪く、自然光があまり入ってこない物件もあります。
日当たりが悪いと湿気が多くカビが発生しやすくなり、電気を使うことが多く光熱費もかかるため、しっかりチェックしましょう。
モデルハウスの見学をするときには照明を消してもらい、日当たりの良さも確認してみてください。
6.不要な設備や装飾があった
6つ目が、モデルハウスに機能がたくさん搭載された設備や、豪華な装飾が施されていたけれど、結局あまり使っていないというケースです。
モデルハウスは見学者の購入意欲をかき立てるため、便利な機能がいくつも付いているキッチンや、きらびやかな装飾が取り付けられているものも多くあります。
見学時は魅力的に見え「この物件がほしい!」と思っても、実際住んでみるとほとんど機能を使っていない、この装飾はいらなかったと感じる方もいます。
標準グレードの設備や、最低限の装飾であれば購入価格を抑えられるので、モデルハウスの購入を決める際は自分の生活と合っているかどうか判断しましょう。
7.瑕疵担保責任の対象外だった
7つ目が建物に重大な欠陥である瑕疵(かし)が見つかったときに、ハウスメーカーや工務店に責任を追及できなかったケースです。
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」の第95条では、新築住宅の売買契約において売主は引き渡しから10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について、民法に規定する担保責任を負うこととされています。
しかし、モデルハウスは新築ではなく中古住宅であるため、瑕疵担保責任の対象外となるケースが多くあります。
そうなると売主に修繕依頼をしても断られてしまい、修繕費用の支払いも自己負担となってしまいます。
ただ中古住宅の場合は、瑕疵があったときに2年または5年間保障を受けられる既存住宅瑕疵保険には加入できるので、保険加入の有無を確認しておきましょう。
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8.立地が悪かった
8つ目が、モデルハウスが建てられている立地が良くなかったケースです。
治安が悪いエリアで近所にゴミが散乱している、最寄り駅まで距離があり、通勤や通学するときに不便、スーパーが近くになく買い物をするときに面倒など、実際に住んでから環境に不満を感じる例もあります。
物件を決める際は周囲の環境を調べ、治安の良さや交通の利便性、スーパーやコンビニの位置も確認しておきましょう。
またハザードマップを参考にして災害のリスクも把握しておくと、いざというときに慌てずに行動できます。
モデルハウスの購入後に失敗・後悔しないための5つのコツ
モデルハウスを購入してしまったと感じた事例を紹介しましたが、こうした失敗を防ぐための対策方法についてお伝えします。
モデルハウスの購入後に失敗・後悔しないためのコツは次の5つです。
- ホームインスペクションを受ける
- 修繕費用の負担について確認しておく
- 契約書の記載事項をしっかりチェックする
- 契約内容・瑕疵担保責任保険の加入の有無など
- 長く住み続けることを考慮して購入を決める
- 住宅の周辺環境を確認する
それぞれのコツを詳しく解説します。
1.ホームインスペクションを受ける
1つ目が、モデルハウスの購入契約をする前に、ホームインスペクションを受けておくことです。
見本となるモデルハウスであっても、設計ミスやずさんな工事により建物に欠陥が見つかる場合もあります。
欠陥住宅と知らずに購入してしまうと、入居後に修繕をしなければならず、地震発生時の大きな揺れで建物が倒壊したり、台風によって破損したりする恐れがあります。
住宅の安全性は重要なポイントなので、引き渡し前にホームインスペクションを済ませておき、欠陥が見つかった場合はハウスメーカーや工務店に修繕を依頼しておきましょう。
イクスプランでは、中古住宅の住宅診断をするときに必要な「既存住宅状況調査技術者」の資格を持つ建築士が検査をいたしますので、ぜひご依頼ください。
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2.修繕費用の負担について確認しておく
2つ目がモデルハウスの修繕が必要な場合、修繕費の負担はどうなるのかを売主に確認することです。
住宅の修繕費用は高額になる傾向にあるので、費用はハウスメーカーや工務店が負担してくれるのか、あるいは自分で負担しなければならないのかを質問しておきましょう。
瑕疵保険に加入しているのであれば、保険金を修繕費用に充てられるので、保険に加入済みかどうかもあわせて確認をしておいてください。
自分で費用を負担しなければならない場合は、ホームインスペクションを受けて建物の欠陥がどの程度であるか調べ、修繕にいくらかかるのかリフォーム会社に見積もり依頼をしておきましょう。
3.契約書の記載事項をしっかりチェックする
3つ目が、契約書の内容をきちんと確認しておくことです。
契約書には建物の欠陥の保障範囲や、修繕の対応などについて書かれています。
内容を把握せずに契約をしてしまうと、建物に不具合が出てきたときなどに売主とトラブルになる恐れがあります。
買主に不利になる条件が書かれていないかや、おかしな点がないかしっかり確認することが大切です。
契約書の見方がよくわからない場合は、建築事務所や建築関係に詳しい弁護士に相談してみましょう。
4.長く住み続けることを考慮して購入を決める
4つ目が、将来を見越してずっと住み続けられる住宅であるか考えることです。
モデルハウスを見学したときは魅力的な家に見えますが、実際に自分たちが住むことを考え、快適に過ごせるかどうかを判断しましょう。
子どもたちが巣立った後に広い家が必要か、歳をとってから階段の上り下りができるかなど、ライフスタイルの変化も考慮してみてください。
5.住宅の周辺環境を確認する
5つ目が、建物だけでなく周辺の環境も調べておくことです。
長く同じ土地に住んで生活を送るので、ゴミが道路に散らばってないかや、駅やバス停までの距離、周辺の店舗などを確かめておきましょう。
また、ハザードマップを見たり市区町村に問い合わせたりして、台風が来たときに近くに氾濫しそうな川がないかや、地盤沈下が起こるリスクがないかどうかも把握しておくことをおすすめします。
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モデルハウスの購入前に確認すべき12のチェックリスト
モデルハウスを購入する際は、リストを元に建物や周囲の環境をチェックしておきましょう。
モデルハウスの購入前に確認すべきチェックリストは以下の通りです。
- 建物にひびや雨漏りの跡がないか
- 建物の間取りは使いやすい仕様になっているか
- 建物の耐震性は十分か
- 建物の広さは適切か
- 建物の断熱性は基準を満たしているか
- 建物や設備に傷や汚れがないか
- 収納は十分にあるか
- コンセントの数・位置は適切か
- 設備の保証期間はどのくらいか
- 地盤に問題がないか
- 災害による被害を受けやすい地域でないか
- 駅やバス停までどのくらい離れているか
建物の大きなひび割れや雨漏りは重大な瑕疵ですので、壁や天井をチェックしておきましょう。
間取りや広さも確認し、自分たちのライフスタイルに合っているか考えます。
建物の耐震性や断熱性、地盤の強さは、ホームインスペクションをすればきちんと確認できます。
モデルハウスを購入する際はホームインスペクションを受けておこう
今回はモデルハウスの購入後に失敗・後悔しないためのコツについてお伝えしました。
モデルハウスは値引きされていることが多く、最新の設備が備え付けられているなどのメリットがある一方、欠陥住宅にあたる可能性もあります。
イクスプランでは、有資格者によるホームインスペクションを承っております。「新築一戸建て診断」「新築内覧会立会い」などもお気軽のご相談くださいませ。
普段目につかない天井裏や床下をしっかりチェックし、建物の安全性を損なう欠陥がないか検査をいたします。
修繕が必要な場合はどこに欠陥があるのか、どのような修繕をするべきかをハウスメーカーや工務店にお伝えします。
モデルハウスを購入してから後悔したくないという方は、ぜひ当社へご相談ください。
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- (株)EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所
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- 記事監修:中嶋栄二
- EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所代表。建築士でありながら住宅診断を行うなど、家にまつわる幅広いお悩みやご相談などに対応。年間100件以上の実績で皆様の住宅に関するお悩みを解決します。【資格等】一級建築士・耐震診断アドバイザー・住宅メンテナンス診断士・建物危険度判定士フラット35適合証明技術者など