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瑕疵保険を中古住宅につけるための条件とは|加入するメリットも解説

この記事では、中古住宅に瑕疵保険をつけるための条件についてご紹介します。

建物の重大な欠陥である瑕疵(かし)が見つかったときに、補修にかかる費用が保証される「瑕疵保険」。

中古住宅を購入する際に「あらかじめ瑕疵保険に入っておきたいけれど、保険の加入条件はどうなっているのだろう」と気になる方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は

  • 瑕疵保険の仕組みについて
  • 中古住宅を購入するときに瑕疵保険に加入しておく4つのメリット
  • 瑕疵保険の保険金が支払われるまでの流れ

などについてお伝えします。

瑕疵保険についてある程度自分で情報を入れておき、審査をスムーズに進めていきたいと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

瑕疵保険の仕組みについて

初めに、瑕疵保険の仕組みについて解説します。

瑕疵担保責任保険(瑕疵保険)は、建物に瑕疵が見つかったときに、修繕にかかる費用を保証するための保険のことで、国土交通省が指定した住宅瑕疵担保責任保険法人が取り扱っています。

中古住宅の売主は個人が多く、建物の瑕疵を修繕する多額の費用を捻出するのは難しいため、瑕疵が見つかったときの責任を負う「瑕疵担保責任」が免除、または数か月間に限られているケースがほとんどです。

瑕疵担保責任がない、または責任期間が修了してから建物に瑕疵があった場合は、買主が修繕費用を負担することになり、負担が重くなってしまいます。

そこで、建物の修繕費を保証する瑕疵保険を作ることで、欠陥があったときの対策ができ、中古住宅の売買を安心して行えます。

瑕疵保険に加入するには、売主または買主が検査事業者に依頼をします。

依頼を受けた検査事業者は、住宅瑕疵担保責任保険法人に申請をしてから「既存住宅状況調査技術者」の資格を持つ建築士によるホームインスペクション(住宅診断)を行い、建物が建築基準を満たしているか検査をします。

保険法人の書類審査とホームインスペクションに合格したら瑕疵保険に加入でき、加入後に建物に瑕疵が見つかった場合は、検査事業者に補修を依頼します。

検査事業者は補修をしたら保険法人に保険金の申請をし、後日保険金が支払われるという仕組みです。

 

瑕疵保険を中古住宅につけるための条件とは

瑕疵保険を中古住宅につけるには、下記の条件を満たしている必要があります。

  • 建物が新耐震基準に適合していること
  • ホームインスペクションに合格していること

昭和56年6月1日以降に建築確認された建物であれば、建物が新耐震基準を満たしているとみなされます。

「建設確認された」とは、役所で「建築確認申請が受理された日」のことを指します。 現場で建物が完成した日や建て始めた日のことではないので注意しましょう。

また、昭和56年5月31日以前に建築確認された以前に建てられた建物の場合は、下記の新耐震基準を満たしていることを証明できる書類があれば加入できます。

  • 耐震診断結果報告書
  • 既存住宅に係る建設住宅性能評価書
  • 瑕疵保険の保険付保証明書(以前に交付されたもの)
  • 建築士法第20条第2項に規定する証明書(構造計算書)の写し
  • 耐震基準適合証明書の写し
  • 住宅耐震改修証明書の写し
  • 固定資産税減額証明書の写し
  • 増改築等工事証明書の写し

さらに、既存住宅状況調査技術者の資格を持つ建築士によるホームインスペクションを受け、合格することも条件です。

中古住宅の瑕疵保険のホームインスペクションで検査されるのは建物の構造上の部分で、屋根や柱、壁に大きなひび割れがないかや、雨漏りをしている部分がないかを調べます。

 

中古住宅を購入するときに瑕疵保険に加入しておく4つのメリット

続いて、中古住宅を購入するときに瑕疵保険に加入しておくメリットについて解説します。

瑕疵保険をつけておくべきなのか迷っているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

1.建物の修繕費用を保険金でまかなえる

1つ目が、建物に瑕疵が見つかった場合に、補修にかかる費用の保証を受けられることです。

建物の瑕疵は主に構造上の欠陥なので、補修費用が多額になる傾向があります。

こうした修繕費用を自費で支払うことになると経済的な負担が大きいので、前もって瑕疵保険に加入しておくことを推奨します。

 

2.税金の優遇制度を受けられる

2つ目が、瑕疵保険に加入することで税金の優遇制度を受けられることです。

瑕疵保険に加入すると、下記の税金が優遇されます。

  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 所得税または住民税
  • 住宅取得等資金の贈与税

瑕疵保険の保証書のコピーを市役所に提出すると、土地や建物の取得する際に、所有権の移転登記時に支払う登録免許税や、都道府県に支払う不動産取得税が軽減されます。

また、返済期間が10年以上の住宅ローンを契約した場合、年末の借入残高に合わせて所得税や住民税から一定額の控除を受けられる住宅ローン控除も受けられます。

さらに、親戚から住宅の購入費用として資金提供を受けた場合に徴収される贈与税が免除されます。

ただ、令和4年度の税制改正により、昭和57年6月1日以降に建てられた住宅であれば、新耐震基準を満たしていると判断され、瑕疵保険に加入していなくてもこれらの優遇制度が適用されるようになりました。

なお、全期間固定金利型住宅ローンのフラット35に申し込む場合もホームインスペクションを受ける必要がありますが、瑕疵保険に加入する際にホームインスペクションを受けて合格すれば、フラット35の検査を省略できます。

瑕疵保険と合わせてフラット35に申し込もうと思っている方は、検査業者と相談し、まとめて検査を済ませておきましょう。

 

3.ホームインスペクションを受けることで安心して住める

3つ目が、瑕疵保険の加入に必要なホームインスペクションに合格しておけば、実際に住み始める前に建物の安全性を確認できることです。

加入時のホームインスペクションを受けておくことで、購入する建物が瑕疵保険の加入条件を満たしていると判断されれば、一定の建築基準を満たしていると証明されます。

ただ、経年劣化や自然災害による雨漏りが起きた場合や契約後に地盤沈下によって建物が傾いたりヒビが入ったりした場合は、保険の対象外となるので注意しましょう。

 

4.契約後のトラブルを防げる

4つ目が、中古住宅の売買契約後に売主・買主間で起きる揉め事を防げることです。

瑕疵保険に加入しておらず、中古住宅の契約後に建物に瑕疵が見つかった場合、売主と買主どちらが費用を負担するかでトラブルになる事例も多くあります。

こうした修繕費用に関するトラブルは長引く傾向にあるので、あらかじめ瑕疵保険に加入しておくのを推奨します。

売主としては瑕疵保険付きの物件として売り出せば、万が一瑕疵が見つかった場合も保障を受けられるので買主に安心感を与えられ、買主にとっても修繕費用を負担せずに済むので、双方にメリットがあります。

 

中古住宅を購入するときに瑕疵保険への加入は必須?

ここまで中古住宅の瑕疵保険についてお伝えしましたが、中古住宅の場合は瑕疵保険への加入は義務ではありません

あくまでも任意なので、必ず加入しなければならないものではないです。

ただこれまでお伝えした通り、売主・買主両方にメリットがあるので、ぜひ契約前に瑕疵保険に加入を検討してみてください。

 

瑕疵保険に加入する際にかかる費用について

次に、瑕疵保険に加入する際にかかる費用について解説します。

瑕疵保険の加入時には、検査料と保険料を合わせて7万円~15万円ほどかかります。

検査料は検査事業者によって金額が異なりますが、5万円~10万円ほどです。

また、保険料は保険期間と住宅の平米数によって変わりますが、戸建ての場合で2.6万円~5.5万円です。

瑕疵保険に加入する際は、これらの諸経費がかかるのを踏まえ、契約するかどうか検討してみてください。

 

瑕疵保険の保険金が支払われるまでの流れ

この章では、瑕疵保険の保険金が支払われるまでの流れについて解説します。

瑕疵保険に申し込んでから保険金が支払われるまでの流れは下記の通りです。

  1. 売主または買主が検査事業者にホームインスペクションと瑕疵保険の申請を依頼する
  2. 検査事業者が住宅瑕疵担保責任保険法人に保険の加入を申請する
  3. 検査事業者がホームインスペクションを実施し、保険会社が書類審査をする
  4. 建物の検査と書類審査に合格すると、保険会社から検査事業者に保険証が発行される
  5. 検査事業者から買主に保証書が交付される
  6. 瑕疵保険の契約後に建物に瑕疵が見つかった場合、買主が検査事業者に修理を依頼する
  7. 検査事業者は瑕疵がある部分を補修し、保険会社に保険金を請求する
  8. 保険会社が検査事業者に保険金を支払う

売主が個人だった場合、検査事業者に瑕疵保険の加入を依頼することになりますが、基本的に売主または買主が住宅瑕疵担保責任保険法人と直接やり取りはせず、検査事業者を介して進めていきます。

なお、万が一検査事業者が倒産してしまった場合は、買主が直接保険会社へ建物の修繕費を請求できます。

瑕疵保険に加入するにはホームインスペクションの合格が必須条件

これまでお伝えした通り、ホームインスペクションに合格しないと瑕疵保険には加入できません。

瑕疵保険に加入する際のホームインスペクションでは、建物の構造部分に重大な欠陥がないかや雨漏りが起きていないかを検査しますが、この検査を行えるのは既存住宅状況調査技術者の資格を持つ建築士に限られます

また、住宅の購入時に建物の安全性を確かめるホームインスペクション(住宅診断)と、瑕疵保険に加入する際の検査が混同されることがありますが、これらはそれぞれ違う検査です

例えば瑕疵保険の検査では、建物の構造上の主要な部分と雨漏りに関する項目のみをチェックしますが、住宅購入時のホームインスペクションでは断熱材がしっかり入れられているかや、結露が発生していないかなど、瑕疵保険の検査項目以外もまんべんなく調査を行います。

イクスプランでは、既存住宅状況調査技術者の資格を持った経験豊富な建築士が、保険の検査項目以外もしっかり調べ、不具合がないかどうかチェックすることもできますので、ぜひ一度ご相談ください。

中古住宅に瑕疵保険をかけたいときはホームインスペクションを受けよう

今回は、中古住宅に瑕疵保険をつけるための条件についてお伝えしました。

中古住宅を購入時に瑕疵保険の加入をするときは、ホームインスペクションを受けることは必須ですが、一般的な瑕疵保険の検査では一番肝心な屋根裏や床下部分は調査に入らず、診断内容も限定されたものになります。

一方、イクスプランのインスペクションは、このような診断ができます。

  • 床下の湿気
  • 屋根裏の雨漏り
  • 外壁のひび割れ
  • 床下や屋根裏の湿気
  • 雨漏れ
  • 欠陥
  • 施工不良
  • 屋根・外壁の劣化
  • ひび割れ
  • 建物内部のドアやサッシ
  • 換気扇の動作、給排水配管の破損や水漏れなど。

このような建物の症状を放っておくと、後々大きな被害が起きる恐れがあるので、入居前にきちんと検査をしておくことを推奨いたします。

また、瑕疵保険に入る為の現地診断は構造強度に影響のある劣化と雨漏れに起因する劣化調査に限定されており、床下や屋根裏の詳細調査も含まれません。

瑕疵保険で行う診断の評価としては、「一定の安心感が得られる程度」に留めておいた方が良いでしょう。

さらに純粋に安心して住みたい場合は、「EQSPLANが人々の幸せになる為の住まいの診断」を受けることをご検討ください。

瑕疵保険に加入する際は、ぜひイクスプランにお問い合わせください。

 

お問い合わせ・ご相談はこちら

  • (株)EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所
  • 住所:〒814-0121福岡県福岡市城南区神松寺3-14-20-1013
  • Tel  092-862-8880

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中嶋栄二 写真

記事監修:中嶋栄二
EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所代表。建築士でありながら住宅診断を行うなど、家にまつわる幅広いお悩みやご相談などに対応。年間100件以上の実績で皆様の住宅に関するお悩みを解決します。【資格等】一級建築士・耐震診断アドバイザー・住宅メンテナンス診断士・建物危険度判定士フラット35適合証明技術者など