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竣工検査と完了検査の違いとは?竣工検査のチェックポイントも解説!

この記事では、竣工検査と完了検査の違いについてご紹介します。

家を建てると「竣工検査」や「完了検査」といった検査を行いますが、何がどう違うのか分からないという人も多いのではないでしょうか。

竣工検査と完了検査の違いを知るのに重要なのが、その検査の目的です。

竣工検査と完了検査の検査の目的を知ると、検査の違いが分かり、引き渡しまでの流れを把握しやすくなります。

ここからは、竣工検査と完了検査の違い、竣工検査時のチェックポイントなど詳しく見ていきましょう。

「竣工検査」と「完了検査」の違いを解説!

竣工検査と完了検査の違いを知るためには、それぞれの検査について知ることが必要です。竣工検査と完了検査には、目的に違いがあります。

 

  • 竣工検査:完成した建物に傷や汚れなど不具合が無いかを調べるため
  • 完了検査:完成した建物が法的に問題が無いかを調べるため

 

このように似た名前の竣工検査と完了検査ですが、目的は異なります。

ここからは竣工検査と完了検査について、それぞれの目的や行われるタイミングなど、検査の違いについて詳しくチェックしていきましょう。

 

竣工検査とは?

竣工検査は、工事を行った施工業者や建築士によって完成した家をチェックした後、施主が立ち会って検査するものです。施主が立ち会う検査であることから、「施主検査」と呼ばれる場合もあります。

家の内部だけではなく、外壁や外構まで全てをチェックし、傷や汚れ、設備不良など細かな部分まで確認する検査です。

家は、いくつもの工程を経て完成します。例えば、骨組みを作る人と壁紙を貼る人が異なるように、多くの人が携わっているため、途中で何かミスがあっても気づかれないケースも。

竣工検査では、仕様書や設計図面を元に仕上がりをチェックし、不備があれば修正してもらいます。竣工検査は、施主の目によるチェックが重要です。

 

完了検査とは?

完了検査は、建築主事または指定確認検査機関が建築基準法に適合しているかを検査するものです。間取りや構造、設備などをチェックし、法的に問題はないかを確認します。

建築基準法に基づき、建物が完成したら、やむを得ない事情がない限り4日以内に完了検査の申し込みを行わなければなりません。完了検査を申し込むための「完了検査申込書」は、一般的にハウスメーカーが代理として提出します。

さらに建築基準法では、完了検査申込書を提出後、7日以内に完了検査を行わなければならないと定められており、タイトなスケジュールとなりやすいです。

完了検査に合格した場合、検査済証が交付されます。検査済証の交付が完了するまで、建物の使用はできないため、必ず交付を受けることが必要です。

完了検査後に施主が立ち会う竣工検査を行うため、完了検査には施主が立ち会わないこともあります。

 

竣工検査と完了検査の大きな違いを解説

竣工検査と完了検査について知ると、4つの点に違いがあることが分かります。

 

竣工検査 完了検査
立ち会う人 施主、施工業者、建築士 建築主事または指定確認検査機関
目的 傷や汚れなど不具合が無いかを調べる 法的に問題が無いかを調べる
行うタイミング 完了検査後 建物が完成後、4日以内に申し込み

申し込み後、7日以内に検査

検査後に行うこと 合意事項をまとめた書類に署名・捺印する 合格後、検査済証を交付してもらう

 

このように目的や立ち会う人、行うタイミング、検査後に行うことにおいて違いがあります。特に目的に大きな違いがあり、完了検査は建築基準法に基づいて問題がないかをチェックする重要な検査です。

完了検査が不適合不合格となると、違法建築とみなされてしまい、修繕や使用制限・使用停止などの命令が下されます。

 

検査から引き渡しまでの流れ

検査から引き渡しまでは、どのような流れで行われるのでしょうか。引き渡し前には、3つの検査があります。自社検査、完了検査、竣工検査の順で行われた後に引き渡しです。

 

  1. 自社検査
  2. 完了検査
  3. 竣工検査
  4. 引き渡し

 

自社検査とは、施工業者や建築士によって、計画通りに家が完成したかをチェックする検査です。自社検査を竣工検査時に行ったり、自社検査とは異なる呼び名としていることがあったりと、会社によって違いがあります。

その後、完了検査、竣工検査と検査を重ね、引き渡しです。引き渡し前後のタイミングで、検査済証や工事完了書、保証書を受け取ります。

保証書は、定期点検やアフターメンテナンスなどについて記載がある重要な書類です。しっかり保管しましょう。

 

竣工検査で注意するべきポイント

竣工検査ではどのようなポイントに注意する必要があるのでしょうか。

 

  • 必ず竣工図・竣工図書をもらう
  • どんな些細なことでも確認する
  • 複数人で確認するとよい

 

竣工図、竣工図書とは、工事中に起きた変更点などを反映させた最終的な図面です。竣工図、竣工図書は、将来的にリフォームや売却を検討するときに必要となります。

建築会社によっては、竣工図、竣工図書を企業秘密が書いてあるからと渡さないことも。中には、作成自体を行わない建築会社もあります。

将来的に竣工図、竣工図書が必要となることが考えられるため、揉め事に発展しないためにも、契約段階で竣工図の作成と受け渡しについて話し合い、書面に残しておくと安心です。

竣工検査をしていて気になるポイントがあったとしても、言い出せない施主もいます。施主としては「専門知識がないのに、こんなこと言ったらおかしいかな…」と指摘しにくい気持ちになってしまうのです。

施主には、契約と違う部分を直してもらう権利があります。素人目で判断しにくい部分もありますが、どんな些細なことでも気軽に聞いても問題ありません。後悔しないように竣工検査でしっかり確認しましょう。

また、竣工検査で立ち合いをしていると、細かな部分にばかり目がいき、大きな部分には意外と気づけないケースも。施主は一人ではなく、家族で立ち会ったほうが、多くの目で確認できます。

 

竣工検査前に確認するべき3つのポイント

竣工検査をスムーズに行うために、竣工検査の前には3つのポイントを確認しましょう。

 

  • 検査を行うタイミング
  • 当日立ち会う人は誰なのか
  • 検査前に行うとよい事前準備

この3つのポイントを確認しておくことがおすすめです。ここからは、竣工検査前に確認するべき3つのポイントについて詳しく解説します。

 

1.検査を行うタイミング

検査を行うタイミングは、引き渡しの2週間ほど前がよいです。引き渡し2週間前なら、何か不備があっても、引き渡し前に修正してもらう時間を設けられます。

何か不備があって修正が必要となる可能性を考えると、遅くとも引き渡しの1週間前には竣工検査を行うとよいでしょう。

雨でも竣工検査はできますが、外構のチェックもするため、できるだけ天気のよい日を選んだ方がよいです。窓の開け閉めをチェックすることも考えると、雨の日ではないほうがよいでしょう。

天候によって竣工検査を行う日を変更する可能性があるため、余裕を持って、引き渡しの2週間以上前に検査日を設定すると安心です。

また、竣工検査をする時間は、明るい時間帯にしましょう。入居前であることから、照明器具の取付がされていないことがあります。

検査には、2時間から3時間はかかることを考え、午前中の9時から10時頃にはスタートし、明るいうちに検査できるようにしましょう。

 

2.当日立ち会う人は誰なのか

通常、竣工検査は施工業者と建築士、そして施主が立ち会います。中には、施工業者が立ち会わない場合もありますが、施工業者が立ち会わないと何か不具合があったときに、修理をする担当者まで話がいかないことも。

施工業者と建築士が立ち会うために、当日立ち会う人は誰なのかをハウスメーカーの担当者に確認しておく必要があります。

施主は、一人よりも複数人で確認したほうがしっかりチェックできるため、家族での参加がおすすめです。

 

3.検査前に行うとよい事前準備

検査をスムーズに行うために事前に準備しておくとよいでしょう。

 

  • 点検口の確認準備
  • 水道・ガス・電気の確認準備
  • 仮設照明の準備

 

点検口は、目に見えない部分をチェックする重要な場所です。チェックするには、ドライバーや脚立が必要となることがあるため、点検口をチェックしたい旨を伝え、ドライバーや脚立などの準備をしてもらうとよいでしょう。

水道・ガス・電気は、重要なライフラインです。事前にライフラインのチェックをしたいことを伝えれば、電気を付けてみたり、トイレを流してみたりといった確認ができます。

ガスについては、入居後でないと使用できない場合がありますが、確認できるかを聞いてみてもOKです。

明るい時間に竣工検査を行っても、見にくい場合があります。仮設照明の設置をお願いできるかを施工業者に確認してみましょう。仮設照明を準備してもらえない場合は、懐中電灯などを持参すると、チェックしやすいです。

 

竣工検査を行うときのチェックポイント

いざ竣工検査を行ってみると、何をどう見ればいいのか分からない…!と戸惑う人がいます。竣工検査を行うときには、図面を見ながら確認しましょう。

ここからは、4つの場所のチェックポイントを解説します。

 

ドア、窓、収納のチェックポイント

  • ドアの開く方向
  • 鍵のかかり具合
  • 引き戸、開き戸は合っているか

照明、コンセント、スイッチのチェックポイント

  • コンセントやスイッチの数、色、位置
  • 照明の数、色、位置
  • アース端子の有無

 

見落としがちなのがアース端子です。電子レンジを置く場所などに必要ですが、設置し忘れていることがあります。

屋外のチェックポイント

  • 外壁の傷やヒビ
  • 土地の境界の確認
  • 庭のライト
  • ベランダの手すりの強度
  • ベランダの排水設備
  • 室外機を置く場所

ベランダは、手すりを揺らしてみて、ガタガタと揺れることはないかをチェックしましょう。ベランダの排水設備が整っているのかをチェックし、水が流れることを確認できると安心です。

室内のチェックポイント

  • 床の傷、汚れ、きしみ
  • キッチン、お風呂、トイレの水道(水栓)
  • 床下の水漏れの有無
  • 床下のゴミ

床下までしっかりチェックしましょう。床下に多くのゴミが残されている場合があります。床下は、ゴミが残されていないか、水漏れはないかなどを確認しましょう。

 

完了検査に必要な書類とは?

完了検査を受けるには準備が必要です。どのような書類が必要となるのでしょうか。

 

  • 完了検査申込書
  • 代理人による申請の場合は委任状
  • 写真(検査特例を受ける場合)
  • 変更内容を記した書類(前回の検査から多少の変更があった場合)

 

基本的には、完了検査申込書と委任状の準備のみでOKです。完了検査申込書は、ハウスメーカーが代理として申請してくれる場合が多く、代理として申請する場合に委任状が必要となります。

建築士が図面通りに建築されていることを確認した場合には、検査特例を受けられるため、写真の提出が必要です。家の耐久性を証明できる写真を用意しましょう。

工事の途中で中間検査が行われます。中間検査は建築基準法第7条の3に基づいたものですが​​戸建て住宅の中間検査の有無は建物の構造や規模、または特定行政庁によって変わります。

例えば、福岡は小屋組み完了後検査が必要ですが、熊本は一般的な規模の木造戸建てでは、中間検査はありません。

どのような建築物について中間検査を義務付けるかは、それぞれの特定行政庁が指定することができるため、中間検査が必要かどうか、必ず各自治体の役所で問い合わせることが大切です

地域によっては、木造3階建ての戸建ての屋根工事などが中間検査の対象となっています。

また、中間検査以降で多少の変更があった場合には、変更内容を記した書類が必要です。

竣工検査でチェックできるか不安な人はホームインスペクションの依頼を検討しよう

竣工検査は、施主のチェックが重要となります。図面を見て違っているところや傷など、見るべきポイントが多く、素人目で本当にチェックできるのか不安…という人もいるのではないでしょうか。

竣工検査でチェックできるのか不安な人は、ホームインスペクションがおすすめです。ホームインスペクションとは、住宅を診断するプロによるチェックを受けることで、プロの目による確認ができます。

床下や点検口を見ても、何を見ればいいのか分からないという人は、ホームインスペクションを依頼して、プロに同行してもらえば、細かな部分まで見てもらえるため安心です。

 

竣工検査と完了検査の違いを理解してお家をしっかりチェックしよう

今回は、竣工検査と完了検査の違いについて解説しました。

名前が似ていて、違いが分かりにくい検査ですが、検査の目的や立ち会う人など大きな違いがあります。

施主にとって重要となるのが、竣工検査です。自分で家をチェックするため、自分でチェックできるのか不安になる人もいます。

そんなときにはインスペクションの依頼がおすすめです。プロに同行してもらうことで安心して竣工検査に臨めます。

安心して竣工検査を行いたい人、隅々まで家をチェックしたい人は、インスペクションへの依頼を検討してみてください。

 

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  • 住所:〒814-0121福岡県福岡市城南区神松寺3-14-20-1013
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中嶋栄二 写真

記事監修:中嶋栄二
EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所代表。建築士でありながら住宅診断を行うなど、家にまつわる幅広いお悩みやご相談などに対応。年間100件以上の実績で皆様の住宅に関するお悩みを解決します。【資格等】一級建築士・耐震診断アドバイザー・住宅メンテナンス診断士・建物危険度判定士フラット35適合証明技術者など