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この記事では、耐震基準適合証明書を発行するタイミングについてご紹介します。
耐震基準適合証明書を発行したいけれど、いつ発行すればよいのか分からないという人も多いのではないでしょうか。
耐震基準適合証明書の発行は、引き渡し前に行うとよいです。
引き渡し前に耐震基準適合証明書を発行すれば、スケジュールに余裕を持ちながらスムーズに行えます。発行することで、発行までスムーズに行えます。耐震基準適合証明書を発行するタイミングを知りたい人、発行する流れを知りたい人はぜひ参考にしてください。
耐震基準適合証明書とは?誰が発行するもの?
そもそも耐震基準適合証明書とは、どのような書類なのでしょうか。
住宅の耐震性能を知る方法として、耐震診断以外にホームインスペクションがあります。耐震診断とホームインスペクションとはどのような違いがあるのでしょうか。
ここからは、耐震適合証明書について解説しています。耐震診断とホームインスペクションの違いについても解説したので、耐震性能について知りたい人はぜひチェックしてください。
耐震基準適合証明書とは耐震基準に適合しているか証明するもの
耐震基準適合証明書は、住宅が耐震基準を満たしていることを証明する書類です。
耐震基準適合証明書の発行は自動で行われるものではなく、必要であれば、自分で申請する必要があります。
耐震基準適合証明書の発行をするためには、耐震診断を行い、耐震性能を確認することも必要です。
耐震基準適合証明書があることで、様々な特例を受けられるようになります。
- 住宅ローン減税
- 登録免許税の減額
- 不動産取得税の減額
- 固定資産税の減額
- 地震保険の耐震診断割引
住宅ローン減税は、築後年数要件があります。非耐火構造の場合は築20年以内、耐火構造の場合は築25年以内の住宅なら、住宅ローン減税の対象です。
耐震基準適合証明書があれば、築年数が超過した住宅であっても住宅ローン減税の対象となります。
他にも耐震基準適合証明書があることで減税や割引といった特例を受けられるようになるようになるため、中古物件を購入するときには、耐震基準適合証明書の発行を検討するとよいでしょう。
耐震基準適合証明書を発行できるのは建築士
耐震性能を確認するには、耐震診断を行う必要があります。耐震診断に似たものでホームインスペクションというものがありますが、耐震診断とはどのような違いがあるのでしょうか。
耐震基準適合証明書を発行するには、耐震基準を満たしているかを確認するために耐震診断を行わなければなりません。
耐震診断を行い、耐震基準適合証明書を発行できるのは、資格を持った建築士です。指定性能評価機関の他に、一級建築士や二級建築士でも発行することができます。しかし一級建築士しか設計や工事管理ができない建物に関しては、一級建築士が発行しなければなりません。
一方、ホームインスペクションは、建物の劣化状態を把握するための調査です。耐震性能を確認するための調査ではないということを理解しておきましょう。
屋根裏や床下まで目視で確認するため、本当に耐震強度を補強するために必要な本当に必要なリフォーム箇所を知ることができます。リフォームのムダを省けることから、コストダウンを狙うこともできるでしょう。
ホームインスペクションを行えるのは、ホームインスペクター(住宅診断士)です。ホームインスペクターには、民間の資格を取得した専門家や建築士が含まれます。
ホームインスペクションをすれば、耐震性能も確認できると勘違いしてしまうケースがありますが、耐震性能を確認するには、建築士による耐震診断が必要です。
耐震診断は、ホームインスペクションに付属するオプションとして行われることがあります。ホームインスペクションと耐震診断は、それぞれ行う目的が異なりますが、どちらも住宅のことをよく知れる調査です。
劣化具合と耐震性能を確認することで、必要なリフォームを検討しやすくなります。調査を行うタイミングによっては、買わないほうがよい住宅を見極める材料にもなるため、調査は重要です。
ホームインスペクションと耐震診断を同時に行い、住宅の状態を知り、必要であれば、耐震基準適合証明書を発行するとよいでしょう。
耐震基準適合証明書を発行するのは引き渡し後では遅い!?ベストタイミングを解説!
耐震基準適合証明書を発行するのは、どのタイミングがよいのでしょうか。所有権が売主から買主へ移転する引き渡しより前のほうがよいのか、後のほうがよいのかを解説します。
耐震基準適合証明書を発行するとよいタイミングを知って、スムーズに発行できるように準備しましょう。
耐震基準適合証明書は引き渡し前に発行するのがおすすめ
耐震基準適合証明書の発行は、引き渡し前に行うことがおすすめです。耐震基準適合証明書の発行はすぐにできるものではありません。
そのため、時間に余裕を持つために引き渡し前に耐震基準適合証明書の発行を行うほうがよいのです。
耐震基準適合証明書を発行するためには、耐震診断を行い、耐震性能を確認する必要があります。調査時間は、2時間から3時間です。
調査後、耐震基準を満たしていない場合は、改修工事が必要となるため、改修工事内容の提案をしてもらいます。耐震診断の結果と改修工事内容の提案までに1週間から10日ほど必要です。
耐震診断の結果、耐震基準を満たしておらず、改修工事が必要になるケースは多く、多くの場合で改修工事を行います。改修工事はその住宅の状態によって必要な工事は異なりますが、1週間から2週間ほどかかると考えておくとよいでしょう。耐震基準適合証明書の申請から発行、取得までは、1ヶ月ほどかかるケースが多いです。
耐震基準適合証明書があっても、引き渡し後、6か月以内に居住し始めなければならないという条件があるため、早めに発行の手続きを行わなければなりません。また、引き渡し後に耐震診断をし、現行の基準を満たすことが分かれば、耐震基準適合証明書の発行ができないというデメリットもあります。
そのため、耐震基準適合証明書の発行は引き渡し前でも後でも可能ですが、基本的には引き渡し前に行われます。
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【注意】引き渡し後の発行はスケジュールがタイトになってしまいやすい
耐震基準適合証明書の発行は、引き渡し後でも可能です。引き渡し後に耐震基準適合証明書の発行を行うと、引き渡し後6か月以内に居住するという条件を満たすために、厳しいスケジュールで動くことになります。スケジュールがタイトにならないために、引き渡し前の発行がおすすめです。
引き渡し前に耐震基準適合証明書を発行する場合、売主の協力が必要となります。売主が耐震基準適合証明書の申請を行い、発行、取得するという流れが基本です。
まだ売主が住んでいる場合には、耐震診断で床下や屋根裏に入ることを許容してもらうといった理解が必要となります。
売主の理解が得られない場合に、引き渡し後に耐震基準適合証明書を発行しなければならないケースはあるでしょう。
引き渡し後に買主が耐震基準適合証明書を発行しなければならない場合には、買主が引き渡し前に申請を行い、引き渡し後に耐震診断と必要な改修工事を行います。
売主の理解を得られない場合には、タイトなスケジュールとなってしまいますが、引き渡し後の発行も視野に入れましょう。
耐震基準適合証明書を発行する流れを解説!どんな書類が必要?
耐震基準適合証明書を発行するには、どのような流れで申請を行うのでしょうか。申請から発行までの流れと必要な書類を解説します。
- 耐震基準適合証明書の発行を売主へ相談
- 耐震基準適合証明書の発行を建築士へ相談
- 申し込み、書類提出
- 耐震診断、現地調査の実施
- 耐震診断の結果報告、改修工事の提案と実施
- 耐震基準適合証明書の発行
まずは、売主へ耐震基準適合証明書の発行を相談するところから始まります。ここで売主の理解が得られない場合には、引き渡し前に耐震基準適合証明書の発行をすることは難しくなるため、理解を得られるよう務めることが大切です。
売買契約締結後であれば、契約が成立しているため、売主の理解を得られる可能性があります。買主にとっては、売買契約締結前に引き渡し前に耐震診断を行い、改修工事にどのぐらいの金額が必要なのかを知っておきたいところではありますが、理解を得るには、契約後の相談がおすすめです。
その後、建築士への相談、申し込み、書類の提出となります。提出書類は5種類あり、見取り図については売主へ相談し、入手することが必要です。
- 耐震基準適合証明申請書仮申請書
- 検査登記事項証明書写しもしくは建物登記事項証明書の写し
- 台帳記載事項証明書もしくは検査済証の写し
- 物件状況等報告書
- 販売図面(間取り図)
耐震基準適合証明申請書仮申請書は、国土交通省のHPで入手できます。
検査済証については、2000年以降に発行が義務付けられたことから、中古物件の場合、見つからない場合もあるでしょう。
検査済証は、紛失したとしても再発行はできません。
検査済証がないときには、台帳記載事項証明書があればOKです。台帳記載事項証明書には、確認済証や検査済証の交付年月日が記載されています。そのため検査済証がなくても、完了検査を受けたことを確認可能です。
耐震基準適合証明書の発行自体は、3万円から5万円、耐震診断で、10万円から15万円、耐震改修工事は、150万円とそれぞれ費用がかかります。
耐震改修工事は、中古物件によって必要な度合が変わるため、ほとんど改修工事が必要ない場合もありますが、築年数が経過している中古物件は大きな改修工事が必要な場合が多いです。
かかる時間や費用、必要となる書類は多いですが、発行すれば減税などの嬉しいメリットがあります。
まとめ
今回は、耐震基準適合証明書を発行するタイミングについてご紹介しました。
耐震基準適合証明書の発行は、住宅の引き渡し前でも後でも可能ですが、余裕のあるスケジュールで発行するには引き渡し前に行うことがおすすめです。
費用や時間、必要書類をまとめるといった手順が必要となりますが、耐震基準適合証明書が発行できれば、減税などのメリットがあります。まずは売主へ相談、そして依頼する建築士へ相談をして耐震基準適合証明書の発行を進めてみましょう。
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- 記事監修:中嶋栄二
- EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所代表。建築士でありながら住宅診断を行うなど、家にまつわる幅広いお悩みやご相談などに対応。年間100件以上の実績で皆様の住宅に関するお悩みを解決します。【資格等】一級建築士・耐震診断アドバイザー・住宅メンテナンス診断士・建物危険度判定士フラット35適合証明技術者など