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住宅売却

傾いた家は売れる?売却する方法と注意点を解説

地盤沈下などが原因で家が傾いていると、体調への悪影響や家の強度など、何かと不安に感じる点が多いでしょう。

そのため今住んでいる家を売却し、新居への引っ越しを考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、「傾いた家でも買い手が付くのかな?」「家を修理するか、更地にしてから売った方がいいのだろうか・・・」と悩んでしまいますよね。

 

そこで今回は

  • 傾いた家を売却する方法
  • 傾いた家の売却価格の値下がりについて
  • 傾いた家を売却するときの注意点

などについてお伝えします。

傾いた家を修理するにはいくら費用がかかるのかもわかるため、傾いた自宅の売却方法を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

傾いた家でも売却は可能

傾く家 揺れる家 耐震の画像

まずは、傾いた家でも売却できるのか解説します。

「すでに傾いてしまっている家は、そもそも売却できないのではないか」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、多くの場合売却は可能です

家が傾いていることを売主に伝えても、リフォームをすることを前提に購入を決める方や、あまり多くはありませんが、多少の傾きなら気にならないとそのまま住まれる方もいます。

また、地盤改良工事やリフォームをしてから売却をしたり、建物を取り壊して更地にしてから売却したりする方法もあります。

それでは、次の章で傾いた家を売却する方法について詳しく解説していきます。

 

傾いた家を売却する方法

 

 

傾いた家のイメージ写真

続いて、傾いた家を売却する方法についてお伝えします。

傾いた家を売却する方法は次のとおりです。

  • 家が傾いたまま売却する
  • 家の傾きを修理してから売却する
  • 家を取り壊して更地にしてから売却する

それぞれ詳しく解説します。

 

家が傾いたまま売却する

まずは家が傾いている状態のまま売却する方法です。

リフォームして改修することを考慮して購入する方もいるため、修繕をせずに家が傾いた状態でも売却できる場合があります。また、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によると、中古住宅の場合は6/1,000以内(0.34度以内)であれば建物の欠陥である瑕疵(かし)にあたらないとされています。

そのため許容範囲内の傾きであれば、問題なく売却でき、相場と変わらない金額で販売できる可能性もあります。

ただ建物が傾いたまま売却をすると、欠陥付きの住宅であると評価され売却価格が下がったり、購入をためらう方が出てきたりするデメリットもあります。

できるだけ売却価格を高くしたいという方は、家の改修工事を依頼したり、建物を取り壊して土地のみを売ったりする方法も検討してみてください。

 

家の傾きを修理してから売却する

家が傾いている場合は、地盤改良工事やリフォームをしてから売却する方法もあります

地盤や建物の問題を改善してから売却すれば、買い手が付きやすく、相場と同じ金額で売却できる可能性が高くなります

さらに、改修後にホームインスペクション(住宅診断)を依頼し検査に合格すれば、建物の安全性を証明できます

ただ地盤に問題がある場合は、改良工事の費用が300万円~500万円ほどかかる場合があるため、多額の修繕費が必要になるデメリットもあります。

修繕を依頼する前に業者に見積もりを作成してもらい、費用がいくらかかるのか確かめてから検討してみてください。

 

家を取り壊して更地にしてから売却する

家の傾きが深刻な場合は、建物を取り壊し、更地にしてから売却する方法もあります

家の傾きが許容範囲を超えている場合や、リフォームに多額の費用がかかる場合は、建物を撤去して土地だけを売ることも検討してみてください。

家を取り壊すのに費用がかかりますが、交通の便が良く価格が上がっている土地であれば、傾いた家を残したままにするよりも買い手が付きやすくなるでしょう。

ただ、土壌の問題により地盤沈下を起こしている場合は、売却価格が下がる可能性があります。

地盤調査会社に調査を依頼し、地盤の改良工事をしてから売却する場合は、費用がどのくらいかかるのか調べておきましょう。

 

傾いた家の売却価格の値下がりについて

住宅の価格イメージ写真

次に、家が傾いている場合の売却価格の値下がりについて解説します。

家が傾いている場合、次の2つのケースに分かれます。

  • 家の床のみが傾いている
  • 家の基礎が沈下している

それぞれのケースでどのくらい売却価格が下がるのかお伝えします。

 

家の床のみが傾いている場合

経年劣化や腐食などにより家の床だけが傾いている状態だと、売却価格が100万円ほど下がる場合があります。

床の修理のみであれば修理費は100万円程度のため、床のリフォームをしてから売却をした方が買い手が付きやすくなるので、ぜひ検討してみてください。

 

家の基礎が沈下している場合

地盤が弱い土地や、災害の影響で土が泥のようになる液状化現象により、家の基礎が沈んでしまう不同沈下を引き起こす場合があります。

家の基礎が沈下していると、300万円〜500万円ほど売却価格が下がってしまう可能性もあります

また沈下を改善する場合は、家をジャッキアップして持ち上げ、地盤を改良する必要がありますが、工事費用が300〜500万円ほどかかってしまいます。

このように、値下がりが予想される価格と地盤の改良工事にかかる費用が同じくらいになるため、予算を考慮して検討してみましょう。

 

傾いた家の地盤を修繕するための工事と費用

費用や料金のイメージ写真

ここからは傾いた家の地盤を修繕するための工事と、それぞれに必要な費用について解説します。

傾いた家の地盤を修繕するために用いられる工法は次のとおりです。

    • 耐圧板工法(耐圧盤工法)
  • 土台上げ工法
  • 薬液注入工法
  • アンダーピニング工法

耐圧板工法は、浅く掘った穴に板を敷き、板の反発する力を利用して傾いた家を持ち上げて水平に直す工法で、200〜400万円ほどかかります。

土台上げ工法は、ジャッキアップして家の基礎と土台を切り離し、土台を持ち上げて水平にしてから隙間に鉄板などを入れる工法で、200〜400万円ほどかかります。

薬液注入工法は、セメントなどを混ぜた薬液を注入管を通して地盤に注入する工法で、250〜400万円ほどかかります。

薬剤の効果で土粒子の間隔を埋めることで、地盤の強度や遮水性を高められます。

アンダーピニング工法は鋼管圧入工法とも呼ばれ、ジャッキを使って鋼で作られた管状の杭を地盤まで圧入させ、建物を水平な状態に保つ工法で、400万円〜500万円ほどかかります。

それぞれの土地の地盤の状態によって適切な工法が異なり、工事費用も業者によって変わるため、事前に相談しておきましょう。

 

傾いた家を売却するときの注意点

注意点のイメージ写真

傾いた家を売却するときに注意しなければならないのが、買主に対して売却時に家が傾いている状態であることを隠さず、きちんと説明するという点です。

不動産売買では、売主が買主に建物の瑕疵について説明をしないまま売買契約を結んでしまい、契約後に瑕疵が見つかった場合は契約不適合責任を問われます。

この場合は契約内容と相違があるとされ、賠償請求や契約の解除を求められる恐れがあります。

また、修繕費用の負担を要求された場合、後から多額の修理費用を支払わなければならないケースもあります。

契約時には家の状態についてきちんと説明をして了承を得ておき、買主とトラブルにならないよう気を付けましょう。

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家がどのくらい傾いていると瑕疵になるのか

品確法の「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」によると、6/1000以上の勾配の傾斜があると瑕疵にあたる可能性が高いとされています。

しかし、傾きの角度だけでなく、家が傾いていることで起こる被害も含めた複合的な原因により瑕疵と判断されることがあります。

家が傾いている原因を調べたいときは、ホームインスペクター(住宅診断士)が所属する建築事務所に相談することをおすすめします

建築のプロが検査を行うため、傾きの原因となっている部分を明らかにできます。

イクスプランでは、中古住宅の状態を検査する際に必要な「既存住宅状況調査技術者」の資格を持つ建築士が在籍していますので、ぜひご相談ください

 

家が傾いたまま住み続けるリスクについて

傾いた家に住み続けるリスクのイメージ写真

家が傾いたまま住み続けると、次のようなリスクがあります。

  • 体に不調が起きる
  • 災害が起きたときに建物が損壊・倒壊する危険性がある

家が傾いていると平衡感覚が鈍ってきてしまい、頭痛やめまいなど健康状態に問題が出てくる恐れがあります。

また家が平行な状態でないと、地震で大きな揺れが起きたときや、台風が接近して豪雨や強風に見舞われたときに、建物が損壊あるいは倒壊してしまう危険性もあります。

家が傾いたまま放置しているとこうしたリスクがあるため、建物と土地を売却し、新しい家へ引っ越すことも検討してみてください。

 

家の傾きを確かめるためにホームインスペクションを受けよう

今回は、傾いた家の売却についてお伝えしました。

たとえ家が傾いている状態でも、ほとんどの物件は売却可能です。

状況に応じてリフォームや地盤改良工事を依頼し、できるだけ高値で売却できるよう検討してみてください。

イクスプランでは、中古住宅のホームインスペクションを承っております

家の傾きが許容範囲内であるか正確に調べられ、傾きが大きい場合は家のどの部分に欠陥があるかをひとつずつチェックしていきます。

また、検査により建物に問題がないことを証明できれば、買主に安心感を与えられ、成約につながりやすくなります。

実績豊富な建築士が検査を行いますので、傾いている家を売却しようか迷っている方は、ぜひ当社へご相談ください。

 

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  • 住所:〒814-0121福岡県福岡市城南区神松寺3-14-20-1013
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中嶋栄二 写真

記事監修:中嶋栄二
EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所代表。建築士でありながら住宅診断を行うなど、家にまつわる幅広いお悩みやご相談などに対応。年間100件以上の実績で皆様の住宅に関するお悩みを解決します。【資格等】一級建築士・耐震診断アドバイザー・住宅メンテナンス診断士・建物危険度判定士フラット35適合証明技術者など