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瑕疵保険に入れないケースがある?加入しておくメリットも紹介

建物を購入した際、重大な欠陥である瑕疵(かし)が見つかったときに、損害に対して保険金が支払われる「瑕疵保険」。

中古住宅を購入予定の方は、建物に欠陥が見つかったときに修繕費を自分たちで負担するのは大変だから、あらかじめ保険に入っておこうと思う方もいるでしょう。

しかし、瑕疵保険は一定の条件を満たしていないと加入できません。

 

そこで今回は

  • 瑕疵保険に入れないケースについて
  • 瑕疵保険に入るメリット・デメリット
  • 瑕疵保険の対象期間と保証内容

などについてお伝えします。

瑕疵保険とはどういった保険なのか、購入予定の物件が瑕疵保険の対象であるか知りたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

瑕疵保険(既存住宅売買瑕疵保険)とは

住宅の写真

はじめに、瑕疵保険について解説します。

建物に問題があったときのために入る瑕疵保険にはさまざまな種類がありますが、中古住宅を売買する際に取り扱われる瑕疵保険は「既存住宅売買瑕疵保険」と言います。

購入した中古住宅に以下のような症状が見られた場合、保険が適用されます。

 

  • 柱や梁などの建物の構造部分に欠陥がある
  • 雨漏りを防ぐ部分に欠陥がある
  • 設備が正常に動いていない

 

なお中古住宅だけでなく、新築住宅の場合も瑕疵保険に入れます。

それぞれの異なる点は、新築住宅の場合は不動産会社などの売主が瑕疵保険に入ることが義務付けられており、中古住宅の場合は加入が任意となっていることです。

そのため、中古住宅の場合は瑕疵保険に入っていない物件もあります。

 

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瑕疵保険に入れないケースについて

瑕疵保険に入れないケースのイメージ写真

次に、加入を希望しても瑕疵保険に入れない事例について解説します。

瑕疵保険に入れないケースは次の通りです。

  • 新耐震基準を満たしていない建物である
  • 建物が傾いている
  • 雨漏りを起こしている
  • 建物にひび割れがある

それぞれ詳しくお伝えします。

 

新耐震基準を満たしていない建物である

老朽化した古い家の画像

瑕疵保険の対象となるのは、新耐震基準を満たしている建物に限定されています。

1981年の建築基準法の改正により耐震基準が見直され、改正前を旧耐震基準、改正後を新耐震基準と呼んでいます。

1981年6月1日以降に建築確認された建物は、新耐震基準を満たしているとみなされます。

1981年5月31日以前に建築確認された建物は、旧耐震基準に沿って建てられており、耐震基準を満たしていないという理由で瑕疵保険に加入できない場合があります。

しかし、旧耐震基準で建てられた物件であっても耐震診断を受け、検査に合格して耐震基準適合証明書を提出すれば加入できます。

イクスプランでは耐震診断を承っていますので、ぜひご相談ください。

 

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建物が傾いている

傾いた家のイメージ写真

1,000分の6以上(0.34度以上)傾いていると建物に問題があるとされ、瑕疵保険の加入を拒否されてしまいます。

1,000分の6以上建物が傾いていると、建物の構造の欠陥や地盤の弱さが疑われ、保険に入ることが難しくなります。

家の傾き具合を調べる際は、ホームインスペクション(住宅診断)を専門業者に依頼し、専用の機材で正確に計測してもらいましょう

 

雨漏りを起こしている

雨漏り・水漏れイメージ

家の天井や壁に雨漏りを起こした跡があった場合も、瑕疵保険に入れません

雨漏りは重大な瑕疵であるため、修繕をしてからでないと保険の加入は認められないでしょう。

事前に建物が雨漏りをしているか見つけるため、以下の点をチェックしてみてください。

 

  • 天井や壁に水がにじんだようなシミがないか
  • 床が浮き上がっていないか
  • クロスがはがれていないか

 

なお、修繕するには多額のリフォーム費用がかかることが多いため、雨漏りを起こしていることに気付いたら物件の購入をキャンセルすることも検討してみてください。

 

建物にひび割れがある

家のひび割れ・欠陥イメージ画像

建物の外壁や基礎に大きなひびが入っている場合も、瑕疵保険の対象外となる危険性があります

外壁や基礎がひび割れていると建物が倒壊したり損壊したりする恐れがあるため、保険に入れない可能性が高くなります。

このような物件は、地震や台風などが起きたときに被害が大きくなりやすいため、入居前に修繕工事が必要となります。

なお、瑕疵保険の条件を満たしているか個人で判断するのは難しいため、ホームインスペクションを受けてプロにしっかり検査してもらいましょう

 

瑕疵保険に入るにはホームインスペクションに合格する必要がある

ホームインスペクターイメージ

既存住宅売買瑕疵保険に加入するには、ホームインスペクションを受けて合格する必要があります

ホームインスペクションを受け、瑕疵保険の検査基準を満たしているかをチェックしてもらい、見事合格できれば保険に入れます。

もし建物が検査基準を満たしていない場合は、修繕をしてから再度検査を受け、問題がなければ加入できます。

 

瑕疵保険に入るメリット

ここからは、瑕疵保険に入るメリット・デメリットについて解説します。

まず瑕疵保険に入るメリットは次の通りです。

  • 瑕疵が見つかったときに修繕費を保険金でまかなえる
  • 建物に欠陥がないかどうか調べられる
  • 建物に問題があった場合に気付いて修繕できる
  • 税制優遇を受けられる場合がある

それぞれ詳しく解説します。

 

瑕疵が見つかったときに修繕費を保険金でまかなえる

瑕疵保険に入っておくと、建物の瑕疵を修繕するときに保険金を請求できます

万が一建物に瑕疵が見つかった場合でも、修繕にかかる費用を保険金で補てんできるため、経済的な負担を軽減できるのが大きなメリットです。

建物の修繕には多額の費用がかかる場合が多いので、中古住宅を購入する際は瑕疵保険に加入しておくことをおすすめします。

 

建物に欠陥がないかどうか調べられる

瑕疵保険の加入時にホームインスペクションを受けることで、建物の欠陥を事前に見つけられるのもメリットです。

先ほどもお伝えした通り、瑕疵保険に入るにはホームインスペクションに合格することが必須となっています。

検査を受けることで、入居前に建物の安全性を確かめてから住み始められます。

 

建物に問題があった場合に気付いて修繕できる

瑕疵保険に入るときの検査で欠陥を見つけられれば、事前に修繕をしてから新居に住めます

ホームインスペクションをせず入居後に欠陥が見つかった場合、修繕をしてもらうまで時間がかかり、工事の間家を空けなければならないこともあります。

事前にリフォームを済ませておけば手間が少なくなり、安心して新しい家に住めるでしょう。

 

税制優遇を受けられる場合がある

瑕疵保険に入っておくと、各種税金の優遇措置を受けられる場合があります。

瑕疵保険に加入することで、以下の税制優遇を受けられる可能性があります。

  • 住宅ローン減税
  • 贈与税の非課税
  • 登録免許税の減額
  • 不動産取得税の減額

住宅ローン減税では所得税の控除が受けられ、親や親戚から住宅購入費を援助してもらったときの贈与税が非課税になる場合があります。

また、住宅を登記する際の登録免許税や不動産取得税が減額されるケースもあります。

瑕疵保険に加入する際は、これらの税制措置を利用できるか確認しておきましょう。

 

瑕疵保険に入るデメリット

デメリットイメージ

続いて、瑕疵保険に加入するデメリットについて解説します。

瑕疵保険に入るデメリットは次の通りです。

  • 保険料を支払わなければならない
  • 検査費用がかかる

それぞれお伝えします。

 

保険料を支払わなければならない

瑕疵保険は保険の一種であるため、当然ながら保険料がかかります。

既存住宅売買瑕疵保険に入る場合、建物の広さや保険期間などによって異なりますが、保険料は2~4万円ほどです。

また、保険料は保険法人によっても差があるため、加入する法人ではいくらかかるのか調べてみてください。

 

検査費用がかかる

瑕疵保険に入る際はホームインスペクションを受けるのが必須のため、検査料もかかります。

検査料も建物の広さによって変わりますが、5~10万円ほどです。

検査費用はかかりますが、建物の安全性を確認しておけるので、検査を受けておく価値は十分にあるでしょう。

 

瑕疵保険の対象期間と保証内容について

続いて、瑕疵保険の対象となる期間や保証の内容について解説します。

既存住宅売買瑕疵保険の保証期間は、5年または2年です。

支払いの対象となる費用は、修繕費用と調査費用、転居や仮住まいにかかる費用となっています。

支払い対象は下記の通りです。

  • 建築基準法レベルの構造耐力性能を満たさない場合
  • 雨漏りが発生した場合
  • 設置工事の瑕疵による給排水設備・電気設備の不具合が生じた場合

 

瑕疵保険の加入者は誰になる?

瑕疵保険の加入者は、物件の売主が宅建業者か個人かによって変わります。

売主が宅建業者の場合は、宅建業者が保険加入者となります。

売主が個人の場合は、ホームインスペクションをする検査機関が保険加入者になります。

建物に保証の対象となる瑕疵が見つかった場合は、買主が宅建業者または検査機関に連絡をし、保険金の請求手続きを依頼します。

宅建業者や検査機関が倒産してしまった場合は、買主が保険会社に直接請求することも可能です。

 

瑕疵保険に入るまでの流れ

保険加入イメージ

Businessman shaking hands partner lawyers or attorneys discussing a contract agreement.

最後に、瑕疵保険に加入するときの流れについてお伝えします。

瑕疵保険に入るまでの流れは以下の通りです。

  • ホームインスペクションを受ける
  • 検査に合格する
  • 瑕疵保険の加入契約を締結する

瑕疵保険に入るまでの手順を確認し、スムーズに申請を進められるようにしておいてください。

 

1.ホームインスペクションを受ける

ホームインスペクションを行うイクスプラン代表中嶋

まずは業者に依頼の連絡をし、ホームインスペクションを受けておきましょう。

ホームインスペクションを受ける際は、「既存住宅状況調査技術者」の資格を持つ建築士が在籍している建築事務所に依頼することをおすすめします。

中古住宅の住宅診断を行える資格である、既存住宅状況調査技術者を保有しているインスペクター(住宅診断士)は、知識が備わっているため、きちんと検査をしてもらえます。

ホームインスペクション業者を選ぶ際は、検査担当者の経歴もチェックしてみてください。

 

2.検査に合格する

ホームインスペクションを受け、建物が瑕疵保険の適用条件を満たしていれば合格です。

検査で不合格だった場合は、指摘された箇所を修繕します。

修繕が完了したら再度検査を受け、欠陥が改善されたことを確認できれば合格となります。

 

3.瑕疵保険の加入契約を締結する

瑕疵保険契約のイメージ写真

検査に合格したら瑕疵保険の契約を結びます。

国土交通大臣指定の住宅瑕疵担保責任保険法人は下記の通りです。

 

  • 株式会社 住宅あんしん保証
  • 住宅保証機構 株式会社
  • 株式会社 日本住宅保証検査機構(JIO)
  • 株式会社 ハウスジーメン
  • ハウスプラス住宅保証 株式会社

 

保険会社によって内容が異なるため、契約をする前にしっかり確認しておきましょう。

 

瑕疵保険に入って万が一のときのために備えておこう

今回は瑕疵保険に入れないケースについてお伝えしました。

瑕疵保険に入っておけば、万が一購入した物件に瑕疵が見つかっても保険金が支給されるため、急な出費に備えられます。

イクスプランでは、瑕疵保険に加入する際に必要なホームインスペクションを承っております。

「既存住宅状況調査技術者」の資格を持つ建築士が検査を担当し、建物が瑕疵保険の条件を満たしているか徹底的にお調べいたします。

屋根裏や床下まで調査し、雨漏りが起きていないか、修繕が必要なひび割れがないかを確認します。

建物に欠陥が見つかったときのために瑕疵保険の加入を検討している方は、ぜひ当社へご相談ください。

 

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中嶋栄二 写真

記事監修:中嶋栄二
EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所代表。建築士でありながら住宅診断を行うなど、家にまつわる幅広いお悩みやご相談などに対応。年間100件以上の実績で皆様の住宅に関するお悩みを解決します。【資格等】一級建築士・耐震診断アドバイザー・住宅メンテナンス診断士・建物危険度判定士フラット35適合証明技術者など