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配管が劣化していたり、雨水が浸水したりして起こる床下の水漏れ。
床下で水漏れが起きてしまったときに、「こんなときはどう対応すればいいのだろう」「このままの状態を放置しておくのはまずいのかな?」と不安に思われるでしょう。
そこで今回は
- 床下で水漏れが起きる7つの原因
- 床下の水漏れを放置することで起こりうるリスク
- 床下で水漏れが起きたときの対処法
などについてお伝えします。
なにが原因で床下で水漏れが起きるのか、水漏れを早急に対処するべき理由がわかるので、自宅でトラブルが起きたときのために備えておきたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。
床下で水漏れが起こる7つの原因
はじめに、なぜ床下で水漏れが起きるのかを解説します。
床下で水漏れが起こる主な原因は次の通りです。
- 給排水管から水漏れを起こしている
- 基礎の配管から水漏れをしている
- 基礎の施工ミスや外壁の劣化により雨水や地下水が浸水している
- 地盤が液状化している
- 排水トラップが劣化している
- 床下で結露が起きている
- 水回り設備がひび割れている
それではそれぞれ詳しくお伝えします。
1.給排水管から水漏れを起こしている
1つ目が、給水・排水管が劣化していたり、接合部がゆるんでいるためです。
中古住宅では経年劣化により、給排水管が錆(さ)びたり破損したり、長年使っているうちに接合部がゆるんできてしまい、水漏れを起こしたりするケースが多くあります。
新築住宅で給排水管から水漏れを起こしている場合は、接合部がしっかり固定されていなかったり、そもそも配管をつないでいなかったりします。
中古住宅の場合は定期的にメンテナンスをし、新築の場合はキッチンや洗面所を使ってみて、水漏れを起こしていないかチェックしておきましょう。
2.基礎の配管から水漏れをしている
2つ目が、基礎に配管を通すための穴から浸水しているためです。
建物に配管を設置する際は、基礎に穴を開け、配管を通してから穴を埋める作業が行われるのが一般的です。
しかし、穴を塞ぐ作業が行われないケースがあり、豪雨が起きたときに基礎に空いた穴から雨水が入り込んでしまい、床下が浸水してしまうことがあります。
こうした被害に遭わないために、新築住宅の場合は引き渡し前に、中古住宅の場合は契約前に配管周りをチェックしておきましょう。
3.基礎の施工ミスや外壁の劣化により雨水や地下水が浸水している
3つ目が、建物の基礎の施工・設計ミスがあったり、劣化が起きたりして浸水しているためです。
住宅の基礎は底盤と立ち上がり部分に分けてコンクリートを打設しますが、境目となる打ち継ぎ部分にわずかな隙間が生じることがあり、地下水が浸水する原因となります。
また、基礎に設置される通気口の位置があまりに低い場合も、雨水が浸水しやすくなります。
あるいは外壁の劣化により、ひび割れや欠損している部分から雨水が入り込み、床下浸水を越す場合もあります。
4.地盤が液状化している
4つ目が地震や豪雨の災害などの影響により、自宅が建っている地盤がゆるくなっているためです。
元々地盤が弱いところで大きな揺れや大雨が発生すると、地下水が噴出し、泥のように地面が柔らかくなってしまう液状化現象が起こることがあります。あるいは近くで大規模な工事が行われた影響で、地下水が流れ出すことで液状化する場合もあります。
地面が液状化してしまうと、建物の重さを支えきれなくなるため建物が傾き、床下浸水を起こします。
5.排水トラップが劣化している
5つ目が、排水口と排水ホースを接続する排水トラップが劣化しているためです。
排水トラップのパッキンはゴム製のため、長年使っていると劣化してしまいます。
キッチンや浴室の床から水が漏れている場合は、パッキンの状態を確認しておきましょう。
パッキンを調べる場合は、以下の点をチェックしてみてください。
- 弾力性が落ちて固くなっていないか
- 破損していないか
- 変色していないか
6.床下で結露が起きている
6つ目が、床下部分に結露が生じており、床下の水漏れにつながっているためです。
特に高密度なベタ基礎を使う場合は、床下の換気が十分でないと通気性が悪くなり、結露ができてしまいます。
湿気がこもると結露が発生し、少しずつ水が溜まってくるため、床下で水漏れが起きた場合は結露も疑ってみましょう。
7.水回り設備がひび割れている
7つ目がトイレや浴槽、洗面台などの水回り設備の表面にひびが入り、水漏れしているためです。
水回り設備は陶器やプラスチックで造られており、経年劣化や固いものを落とした衝撃によりひびが入ってしまうことが多くあります。
水を流したときに破損した部分から水漏れを起こすことで、床下まで水が漏れてしまう場合もあります。
水回り設備にひびが入った状態だとケガをする恐れもあるため、なるべく早く処置するようにしましょう。
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床下の水漏れを放置することで起こりうるリスク
次に床下の水漏れに気付いたときに、何も対処をせずそのままにしておく危険性について解説します。
床下の水漏れを放置することで起こりうるリスクは次の通りです。
- 災害でダメージを受けたときに被害が大きくなる
- カビが繁殖することで健康被害を受ける
- リフォーム費用が高額になる
- 建物の価値が下がってしまう
- 無駄に水道代を払うことになる
それぞれお伝えします。
災害でダメージを受けたときに被害が大きくなる
床下で水漏れを起こしている状態を放置してしまうと、地震や台風が発生したときに、建物が大きなダメージを受ける恐れがあります。
床下の水漏れにより、木材が腐食したりクギなどの金属類が錆びてしまうと、建物の耐久性が下がってしまいます。
また、湿気が多くなることでシロアリが繁殖し、食べられてスカスカになった柱は十分に家を支えられなくなります。
このような状態で大きな揺れや強風に見舞われた場合、住宅が傾いたり倒れたりする危険性が高まります。
被害をできるだけ抑えるために水漏れの原因を突き止め、早急に修繕をしておきましょう。
カビが繁殖することで健康被害を受ける
床下で水漏れが起きているとカビが繁殖し、胞子を吸い込むことでアレルギーやぜんそくを引き起こす危険性があります。
湿度が高いとカビが大量発生し、空中に浮遊したカビの胞子が体内に入ることで、健康被害を引き起こす原因となる場合があります。
また、水が溜まっている場所はゴキブリや蚊などの害虫が発生しやすくもなります。
このため、床下で水漏れが発生したときはバケツなどで水をかき出しておき、すぐに修繕を依頼しましょう。
リフォーム費用が高額になる
床下の水漏れを放置した場合、木材の劣化が進んでしまい、リフォームをするときに多額の費用がかかる恐れがあります。
水に浸かっている状態のままにしておくと、建物を支えている木材がどんどん腐食してしまいます。
この状態を見過ごし、床板がしなってきたり家が傾き出したりしてからリフォームをした場合、大がかりな修繕が必要となるでしょう。
リフォーム費用を最小限に抑えるためにも、床下の水漏れは早めに直しておくことをおすすめします。
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建物の価値が下がってしまう
床下が水漏れをしている状態を修繕しないままだと、売却するときに相場よりも価格が低くなる可能性が高まります。
不動産を売買するときは建物の状態が重視されるため、水漏れを起こしていることが理由で買い手が付きにくくなります。
そのため将来家を売却するときのことも考え、今のうちから修繕をしておき、建物の価値をできるだけ落とさないようにしましょう。
無駄に水道代を払うことになる
配管から水漏れをしている場合、その間水が流れ続けてしまうため、高額な水道代を請求されてしまいます。
配管が欠損していたり結合部に隙間ができていたりすると、常に水が出続けてしまいます。
この状態を放置してしまうと水道代が一気に跳ね上がり、後悔することになりかねません。
水漏れに気付いたときにはすぐに止水栓を閉め、修理を依頼しましょう。
床下で水漏れが起きている原因を調査する方法
続いて、なぜ床下で水漏れが起きているのか調べる方法についてご紹介します。
床下で水漏れが起きている原因を調査する方法は次の通りです。
- 床下へ入って水漏れしている箇所を探す
- 給排水設備をチェックする
それぞれ解説します。
床下へ入って水漏れしている箇所を探す
まずは床下に潜り、どこから水が漏れているのかを探します。
床の点検口から入って行き、水漏れを起こしている場所や、どれくらい浸水しているのか、木材は腐食していないかなどをチェックしていきます。
なお床下に潜る作業は危険が伴うので、施工会社や修理業者、リフォーム業者に依頼しましょう。
普段床下に入ることはほとんどないはずなので、ケガをするリスクもあります。
また、プロであれば水漏れの原因を突き止めやすく、状況に合わせて対応策を提案してもらえます。
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給排水設備をチェックする
給排水管から水漏れをしている可能性が高い場合は、水道業者に連絡し、排水がきちんとできているか調べてもらいましょう。
蛇口をひねって水が流れ出したときに、水圧により給排水管から水が漏れているかを確認し、原因を突き止めてもらってください。
配管や排水トラップが劣化している場合は交換しておき、水が漏れ出さないように修理してもらいましょう。
木材がどれだけ水分を含んでいるか調べる
床下の水漏れの原因を調べる際は、木材の含水率も確認しておきましょう。
施工業者やリフォーム業者に水漏れの修繕を依頼した際、水分計で木材がどのくらい水を含んでいるのかを計測してもらうと良いです。
木材が水を含んだままだと劣化してしまう恐れがあるため、水漏れの処置をした後にしっかり乾燥しているかを確かめておいてください。
床下で水漏れが起きたときの対処法
ここからは、床下で水漏れが発生した際、どのような対応をすればいいのかお伝えします。
床下で水漏れが起きたときの対処法は次の通りです。
- 溜まった水を取り除く
- 部材の修理または交換をする
- 建物をリフォームする
- 地盤の改良工事を行う
床下に水が浸水したときの対策を知っておき、いざというときのために備えておきましょう。
溜まった水を取り除く
まずは排水をするところから始めます。
床下に水が溜まっている状態を放置しておくのは良くないため、すぐに水を出してしまいましょう。
水が抜けきったら防湿シートを敷いたり調湿材を使ったりして、湿気が溜まらないように予防をしておきます。
床下の通気性が良くなるよう環境を整え、水漏れが起こらないよう修繕しておくと安心です。
部材の修理または交換をする
給排水管や排水ホース、排水パッキンが原因で水漏れをしている場合は、交換を依頼して新しいものに取り替えておきましょう。
水回り設備は10年以上使い続けるとだんだん劣化してくるため、定期的にメンテナンスをし、必要であれば部材の交換を行います。
配管やホースが破損している場合、テープで留めたりタオルを巻くことで応急処置はできますが、根本的な問題は解決できないため交換することをおすすめします。
建物や設備をリフォームする
建物の基礎や外壁に問題がある場合は、施工会社やリフォーム業者に修繕を依頼しましょう。
基礎や外壁の不具合をそのままにしてしまうと、災害が起きたときにも建物が崩れたり破損したりする危険性があるため、早急に修繕しておくことをおすすめします。
またトイレや洗面台、浴槽のひび割れが原因で水が漏れている場合は、設備の取り替えを行いましょう。
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地盤の改良工事を行う
地盤がゆるく液状化現象が起きている場合は、地盤の改良工事を依頼しましょう。
地盤が弱いと住宅が傾いたり倒壊したりする危険性もあるため、地盤を補強する工事をする必要があります。
ただ、地盤の改良工事をするには多額のリフォーム費用がかかるため、予算も考慮しながら検討してみてください。
床下が水漏れしたときの応急処置の仕方
最後に床下で水漏れが起きた際に、修理をしてもらうまでにしておくべきことをご紹介します。
床下が水漏れしたときの応急処置の仕方は次の通りです。
- 止水栓を閉める
- 給排水管の水漏れしている部分をタオルやテープで巻く
- 排水をする
- 濡れた部分を乾燥させる
水漏れに気付いたらまずは止水栓を閉め、水の流れを止めておきましょう。
次に水回りの給排水管から水漏れしている場合は、水が出ている部分にテープやタオルを巻きつけておきます。
水漏れしている箇所を塞いだら、安全に配慮しながらバケツを使って床下に溜まった水をすくい上げ、排水をします。
ある程度水を取り除けたら、扇風機などを使って床下を乾かします。
床下は通気性が悪いため扇風機を左右に動かすようにし、まんべんなく乾燥させましょう。
数日~1週間ほど風を当てておくと、内部までしっかり乾かせます。
定期的にホームインスペクションを受けて床下の水漏れを防ごう
今回は床下で水漏れが起こる原因についてお伝えしました。
水漏れが起きて大変な思いをする前に、定期的にホームインスペクション(住宅診断)を受け、床下の状態をチェックしておくことをおすすめします。
イクスプランでは、普段目につかない床下もしっかり検査いたします。
雨水が浸水していないか、木材が水分を含んでいないか、金属類は錆びていないかを徹底的に調べます。
被害が大きくなる前に自宅の床下の状態を調べてもらいたいという方は、ぜひ当社へご依頼ください。
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- (株)EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所
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- 記事監修:中嶋栄二
- EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所代表。建築士でありながら住宅診断を行うなど、家にまつわる幅広いお悩みやご相談などに対応。年間100件以上の実績で皆様の住宅に関するお悩みを解決します。【資格等】一級建築士・耐震診断アドバイザー・住宅メンテナンス診断士・建物危険度判定士フラット35適合証明技術者など