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住宅診断

ホームインスペクションを売主が嫌がる理由|拒否されたときの対処法

建物の安全性を確かめるために行うホームインスペクション(住宅診断)

新築住宅や中古住宅を購入する際、建物に欠陥がないかを調べる重要な検査です。

しかし、ハウスメーカーや不動産会社の中には、買主がホームインスペクションを受けたいと伝えたときに嫌がり、検査を拒否してくる場合もあります。

 

そこで今回は

  • 売主がホームインスペクションを受けるのを嫌がる5つの理由
  • ホームインスペクションの依頼を拒否されたときの対処法
  • ホームインスペクションを依頼しておくべき理由

などについて解説します。

ホームインスペクションを受けることを拒否された際の対応方法がわかるので、これからマイホームを購入する予定の方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

売主がホームインスペクションを受けるのを嫌がる5つの理由

住宅のイメージ写真

はじめに、なぜハウスメーカーや不動産会社はホームインスペクションを受けるのを嫌がるのかについて解説します。

売主がホームインスペクションを受けるのを嫌がる理由は次の通りです。

  • 買主が購入のキャンセルをするのを恐れているから
  • 他の不動産会社に物件を先取りされてしまう可能性があるから
  • 建物に欠陥があることを隠そうとしているため
  • 検査業者に指摘されたことの対応が面倒だと思っている
  • すでに検査を実施しているため不要だと思っている

それでは、それぞれ詳しくお伝えします。

 

1.買主が購入のキャンセルをするのを恐れているから

1つ目が、検査によって建物の欠陥である瑕疵(かし)が見つかり、契約をキャンセルされることを避けたいためです。

ホームインスペクションで建物の状態を調べたときに、瑕疵が見つかって買主が購入をやめてしまうと、自分の成績に影響すると考えているのでしょう。

買主としては「これから自分たちが住む住宅の安全性を確かめたい」と思っているのに、売主の利益だけを優先しているケースです。

こうした問題を防ぐために「ホームインスペクションを受け、建物に問題がなければ購入する予定である」ことを伝えておくと、担当者も検査を受けることを前向きに検討してくれるでしょう。

 

2.他の不動産会社に物件を先取りされてしまう可能性があるから

2つ目が検査を受けている間に、商談中の物件が別の不動産会社の手に渡ってしまう可能性があるためです。

多くの新築住宅や中古住宅は、仲介業者を介して売買が行われています。

特に優良物件は不動産会社の間で取り合いになるため、自分の顧客がホームインスペクションを受けている間に、他の不動産会社の顧客に先取りされることを危惧しているのです。

これも自分の利益を優先しているために起こる問題であり、買主の信頼を落とす行為です。

 

3.建物に欠陥があることを隠そうとしているため

3つ目が、すでに建物に瑕疵があることに気付いており、問題を隠したいと思っているためです。

不動産会社や施工会社が建物に不具合があることを知っていて、不都合な事実をバラされたくないと検査を拒否しているパターンです。

これは住宅を販売・施工する立場としてあってはならないことですが、買い手が付かないと困る、修繕にコストや手間がかかるという理由で、事実を隠そうとするケースもあります。

売主がごまかそうとしてもしっかりと検査を受ける意思を伝え、あいまいにしないようにしましょう。

 

4.検査業者に指摘されたことの対応が面倒だと思っている

4つ目が、ホームインスペクション業者が入って検査をし、修繕対応するのが面倒だと感じているためです。

検査に入ったホームインスペクション業者の担当者に、あれこれ指摘をされることがうっとうしいと思っているケースです。

なかには自分たちの仕事をけなされていると解釈し、嫌な顔をされる場合もあります。

また、検査をしなければそのままで済んだのに、指摘されたことで修繕が必要になり、手間が増えてしまうと考える業者もいるようです。

しかし、家の施工を請け負った以上は修繕依頼に応じ、買主が安全に暮らせる住まいを提供するために工事を担うべきでしょう。

 

5.すでに検査を実施しているため不要だと思っている

5つ目が、すでに建物の検査は完了しており、改めてホームインスペクションを受ける必要はないと判断しているためです。

新築住宅の場合は、建築後に竣工(しゅんこう)検査や完了検査が行われ、建物に瑕疵があったときに補償を受けられる「瑕疵保険」に加入する際も検査を実施します。

これらの検査を受けていることを理由に、売主から「ホームインスペクションは受けなくても大丈夫です」と言われる場合があります。

しかし、これらの検査は簡易的なため、施工の不具合を確実に見つけられるわけではありません

そのため売主にホームインスペクションを受けることを断られても、検査を受ける必要は十分にあります。

 

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ホームインスペクションの依頼を拒否されたときの対処法

続いて、売主に検査を受けることを拒まれた際、どのような対応をすべきか解説します。

ホームインスペクションの依頼を拒否されたときの対処法は次の通りです。

  • 買主はホームインスペクションを受ける権利があることを伝える
  • 検査を拒否するならば購入しないと主張する
  • 交渉が成立しない場合は契約をキャンセルする

これから説明する対処法を参考にしていただき、毅然とした態度で売主に伝えてみてください。

 

買主はホームインスペクションを受ける権利があることを伝える

まずは、買主には検査を受ける権利があるということを主張しましょう。

購入した物件で生活を送るのは買主であり、自分たちが住む建物の安全性を確かめるのは当然の権利です。

これを売主が勝手に拒否するというのはおかしな話で、筋が通っていない判断です。

売主にホームインスペクションの依頼を拒否されたら、「自分たちが安心して暮らせるかどうか確認するために、ぜひ検査を受けておきたい」としっかり伝えましょう。

 

検査を拒否するならば購入しないと主張する

売主にホームインスペクションの依頼を拒否された場合、「検査を受けさせていただけないのであれば、この物件は購入しません」と伝えると良いでしょう。

売主にとって契約が成立しないことはなんとしても避けたいので、こうした主張をすれば検査を許可してくれる可能性が高まります。

「相手に面倒な客だと思われたくない」と気にされる方もいらっしゃるかもしれませんが、遠慮せず強気な姿勢で伝えることが大切です。

交渉を上手く進められるよう、自分の意見をはっきりと伝えておきましょう。

 

交渉が成立しない場合は契約をキャンセルする

ホームインスペクションを受けることを拒否され、その後も交渉に応じてもらえない場合は、契約をキャンセルしましょう

検査を受けないまま家を購入するのはリスクがあり、わざわざリスクを負ってまで契約をする必要はありません。

不動産会社にホームインスペクションを断られた場合は、同じ物件を仲介している別の会社に検査を許可してもらえるか相談してみる方法もあります。

あるいは1つの物件にこだわらず、新たに別の物件を探すことも検討してみてください。

 

中古住宅はホームインスペクションの告知が義務化されている

老朽化した古い家の画像

中古住宅はシロアリによる建物の劣化や雨漏りなど、隠れた瑕疵が多く見つかるため、中古住宅を販売する場合は、ホームインスペクションの告知が義務となっています

2018年4月の宅地建物取引業法の改正により、以下のことが義務化されています。

  • ホームインスペクションについて説明をすること
  • 既にホームインスペクション実施済ならその調査結果を説明すること
  • 売主と買主が建物の状況について書面で確認すること

不動産業者は中古住宅を販売する際、買主に対してホームインスペクションがどういった検査なのか、何を目的として実施するのかなどを説明しなければいけません。

すでにホームインスペクションをしている場合は、調査結果を買主に開示する必要があります。

なお、中古物件の売買契約を結ぶ際に、建物の構造部分や雨漏りの状態など、住宅の重要な箇所の調査結果については書面に記載すること、記載してある内容を売主と買主で確認をしなければならないとされています。

このように法律で定められているため、中古住宅の販売を手がける売主は、上記のことを買主に求められれば拒否することはできません

 

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ホームインスペクションを依頼しておくべき理由

イクスプラン代表がホームインスペクションを実施している画像

ここからは、新築住宅や中古住宅を購入する際にホームインスペクションを受けておくべき理由についてお伝えします。

ホームインスペクションを依頼しておくべき理由は次の通りです。

  • 瑕疵があったときに売主に責任を追及できる
  • 災害が起きる前に建物の安全性を確認できる
  • 入居前に欠陥を修繕しておける
  • リフォームにかかるコストの目安がわかる

それぞれ詳しく解説します。

 

瑕疵があったときに売主に責任を追及できる

ホームインスペクションを受けて建物に重大な瑕疵が見つかった場合、契約内容と異なることを理由に、売主に責任を追及できます

2020年4月の民法改正により、目的物が契約内容に適合していないものに対して「契約不適合責任」の追及ができるようになりました

そのため購入予定の建物に問題があった場合、契約の解除や損害賠償の請求ができます。

入居前に検査を受けて瑕疵があったときは、契約を解消して別の物件を探したり、修繕にかかった費用を売主に負担してもらったりすることも可能です。

 

災害が起きる前に建物の安全性を確認できる

ホームインスペクションを事前に受けておけば、地震や台風、豪雨などの災害に備えられます

大きな揺れや強風、大雨などによりダメージを受けた際、建物が十分な耐久性があるかどうか検査しておくことで、安心して過ごすことができます。

災害が起きたときに住宅が損壊または倒壊してしまった場合、修繕には多額の費用がかかり、生活にも大きな支障が出てしまいます。

こうした被害を未然に防ぐために、ホームインスペクションを受け、建物の状態や耐震性を確かめておくことをおすすめします。

イクスプランではホームインスペクションと耐震診断を承っております。

災害に見舞われたときになるべく被害を抑えたいという方は、ぜひご依頼ください。

 

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入居前に欠陥を修繕しておける

あらかじめ引き渡し前にホームインスペクションを受けておき、修繕をしてもらえれば安全な状態で住み始めることができます

新しい家に入居してから欠陥に気付いた場合、嫌な気分のまま過ごさなければならず、修繕が終わるまで仮住まいが必要になるケースもあるでしょう。

検査で問題を見つけられ、引き渡しまでに修繕が行われていれば、気持ちよく新生活をスタートできます。

なお、施工直後に修繕を依頼した方が日程を調整しやすく、工事の手配をスムーズに行えるのもメリットです。

 

リフォームにかかるコストの目安がわかる

ホームインスペクションを受けて建物の状態を細かく調べることで、中古住宅の修繕費を把握しやすくなります

中古住宅は隠れた瑕疵が見つかりやすく、当初の予想よりもリフォーム費用が高額になってしまったというケースも多くあります。

こうした失敗を防ぐため、事前に検査を依頼しておき、建物の劣化具合を調べたうえでリフォーム会社に見積もりを出してもらうと安心です。

また、あまりにもリフォーム費用が高額になる場合は、別の物件を購入した方が費用を抑えられる場合もあるので、一度検討してみてください。

 

ホームインスペクションを受けるべきタイミング

ホームインスペクションを受ける際は、引き渡し日までに検査を終えられるように業者に依頼しておきましょう

引き渡し後に建物に欠陥が見つかった場合は、買主の責任となってしまうケースもあります。

この場合修繕費を自己負担しなければならない恐れもあるため、できるだけ早めに検査を依頼することをおすすめします

また、ホームインスペクション業者に検査を依頼してから、日程調整や検査結果が通知されるまで時間がかかるため、余裕を持って問い合わせをしましょう。

 

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ホームインスペクションを受けて気持ちよく新生活をスタートしよう

ホームインスペクションを受けているイメージ写真

今回は、ホームインスペクションを受けることを売主が嫌がる理由についてお伝えしました。

不動産業者の中には自分たちにとって不都合であるため、ホームインスペクションの依頼をすることを嫌がる場合もあります。

しかし、建物の検査を受けておくことは重要であるため、買主としてはっきりと意思を伝えておきましょう。

イクスプランでは実績豊富な建築士が検査に当たります。

検査項目を1つ1つチェックし、施工ミスがないか、設計図通りに施工されているか、欠陥がないかを入念に調べます。

問題があった箇所はすべてお知らせし、施工業者にも報告をして修繕を促します。

安心して新しい家での生活をスタートさせたいという方は、ぜひ当社へご依頼ください。

 

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記事監修:中嶋栄二
EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所代表。建築士でありながら住宅診断を行うなど、家にまつわる幅広いお悩みやご相談などに対応。年間100件以上の実績で皆様の住宅に関するお悩みを解決します。【資格等】一級建築士・耐震診断アドバイザー・住宅メンテナンス診断士・建物危険度判定士フラット35適合証明技術者など