目次
築50年の住宅はリフォーム後何年住める?費用や注意点も解説
立地が良く販売価格が手頃な物件でも、築50年の中古物件だった場合、何年住み続けられるのか不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
「お金をかけてリフォームしても、年数が経ってるから長くは住めないかも」「短い間しか住めないのだったら、買っても損をしてしまうのではないか」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は
- 築50年の住宅をリフォームしたら何年住み続けられるのか
- 築50年の中古住宅を購入するメリット・デメリット
- 築50年の住宅をリフォームするときの注意点
などをご紹介します。
築50年の中古物件を購入しようか迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
築50年の住宅をリフォームしたら何年住み続けられるのか
始めに、築50年の住宅をリフォームした場合、リフォーム後に何年住み続けられるのかについて解説します。
建物の法定耐用年数は、木造住宅の場合22年、鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションの場合は47年となっています。
しかし、耐用年数に関わらず、建物の寿命はメンテナンスの状態によって大きく異なります。
木造住宅の場合、メンテナンスをしていない物件の寿命は30~40年ですが、リフォームをしてメンテナンスをすれば80年~100年は住み続けられます。
そのため、建てられてから年数が経った住宅でも、メンテナンスをすれば長く住むことが可能です。
築50年の中古住宅を購入するメリット
次に、築50年の中古住宅を購入するメリットについて解説します。
築50年の中古住宅を購入するメリットは下記の通りです。
- 築年数が浅い物件より安く購入できる
- リフォームをして自分好みに改修できる
- 購入前に建物を見学できる
それではそれぞれ詳しくお伝えします。
築年数が浅い物件より安く購入できる
築50年の中古住宅を購入するメリットは、築浅の物件と比べて低い値段で販売されていることです。
築50年の物件は年数が経っている分価格が低く設定されているため、新築物件よりも少ない金額で購入できます。
東京の新築の物件相場は6,800万円ほどかかりますが、築50年の中古住宅の相場は3,300万円ほどと、およそ半分の価格です。
住宅の購入費用を抑えられれば家計の負担も軽くなるため、できるだけお得にマイホームを手に入れたいという方におすすめです。
リフォームをして自分好みに改修できる
中古物件を購入する場合は、自分の希望に合わせてリフォームできるのもメリットです。
建売住宅の場合はすでに建物が出来上がっており、設備が入った状態で入居するため、自分の好きなようにアレンジできません。
しかし、中古物件は購入後にリフォームをするケースが多いため、間取りを変更したり設備を入れ替えたりできます。
リビングを広くしたり、対面式のキッチンを設置したりするなど、可能な限り自分好みの住居に仕上げてもらえます。
購入前に建物を見学できる
中古物件は、購入前に実物を確認できるのもポイントです。
注文住宅の場合は設計の段階から始めるため、住宅が建ってからイメージしていたものと違ったと後悔するパターンもあります。
一方、中古物件は建物を内見できるので、実際に住んだときの様子をイメージしやすいのがメリットです。
「この部屋はこうやって使おう」「ここにソファを置こう」と想像でき、入居してからのギャップが少なくなります。
また、注文住宅は入居できるまでに時間がかかりますが、中古物件は購入後すぐに入居できるため、引っ越しの目途を立てやすくなります。
築50年の中古住宅を購入するデメリット
続いて、築50年の中古住宅を購入するデメリットについて解説します。
築50年の中古住宅を購入するデメリットは下記の通りです。
- 修繕に多額の費用がかかる
- 耐震性が低い場合がある
- 建物の価値が低い
それではそれぞれお伝えします。
修繕に多額の費用がかかる
築50年の中古住宅を購入するデメリットは、建物が劣化しており、修繕費用がかかってしまうことです。
家を建ててから50年もの歳月が経つと、柱が劣化していたり壁にひびが入っていたりして、修繕するのに多額の費用がかかる物件も少なくありません。
中には建て替えた方が安く済んだというケースもあるため、中古住宅を購入する前にホームインスペクション(住宅診断)を受け、建物の状態を確認しておくことをおすすめします。
検査結果を受け、建物を補修してもらうリフォーム会社に見積もりを出してもらい、修繕にいくらかかるか把握してからリフォームを依頼するとよいです。
耐震性が低い場合がある
築50年の中古住宅の場合は、耐震性が低い可能性があり、大きな揺れが起きたときに建物がダメージに耐えられない恐れがあります。
1981年6月1日に施行された「新耐震基準」に沿って建てられた住宅は、震度6以上の揺れに耐えられるとされています。
しかし、新耐震基準が施行される前の住宅は「旧耐震基準」に沿って建てられているため、震度6以上の地震が発生した際に、建物が倒壊・損壊する危険性があります。
また、年数が経った住宅は基礎部分や構造部分が劣化している場合があるので、耐久性が落ちていることが考えられます。
そのためホームインスペクションを受ける際に、耐震診断も併せて受けておくことをおすすめします。
建物の価値が低い
築50年の中古住宅は建物の価値が下がるため、住宅ローンに通りにくかったり、売却する際に買い手がつきにくかったりするケースもあります。
住宅ローンの審査では住宅を担保にして借り入れをするので、築50年の物件だと審査に通りにくい傾向にあります。
また将来住宅を売却するときに、年数が経っていると購入希望者が少なく、なかなか売却できないことが予想されます。
中古物件を購入する際は、こうしたリスクがあることも念頭に入れ、慎重に検討してみてください。
【あわせて読みたい】
リノベーションをした築50年の中古住宅の失敗例と対策について解説
建て替えとリフォームどっちがいい?違いやメリット・デメリットを解説
高齢者が暮らす住宅は建て替えが必要?ポイントや補助金について解説
中古住宅のリフォーム費用について
ここでは、中古住宅のリフォームにかかる費用についてご紹介します。
築50年の中古住宅をリフォームするには、1,000~1,500万円ほどかかると言われています。
どの箇所のリフォームにどのくらい費用がかかるのかお伝えしますので、リフォームをする際に参考にしてみてください。
水回りのリフォーム費用
水回り設備のリフォーム費用の相場は下の表の通りです。
キッチン | 50~150万円 |
浴室 | 50~150万円 |
トイレ | 15~50万円 |
洗面 | 10~50万円 |
築50年の中古物件は水回りの設備が老朽化していることが多いため、取り替えが必要になるケースもあります。
また、水回りの設備を新しくすると使い勝手が良くなり、イメージも変わるため、新しい物に入れ替えるのもよいでしょう。
電気配線のリフォーム費用
電気配線のリフォーム費用の相場は下の表の通りです。
配線費用 | 2万6,000円(5mあたり) |
コンセントの増設 | 1万2,000~1万6,000円 |
照明器具の取り付け | 8,000円~2万円 |
アンペアの増設 | 8~10万円 |
50年前に建てられた物件は、当時は現代よりも電化製品を使用する機会が少なかったため、コンセントの数が少ない物件が多いです。
コンセントの数が限られていると、スマホを充電したりPCを使用したりするときに不便なので、あらかじめコンセントを増やしておきましょう。
外壁・耐震補強のリフォーム費用
外壁・耐震補強のリフォーム費用の相場は下の表の通りです。
外壁 | 50~200万円 |
耐震補強 | 100~200万円 |
耐震補強の費用はあくまでも目安ですので、建物の劣化が進んでいればさらに費用がかかります。
中古住宅をリフォームしたときに活用できる制度
中古住宅をリフォームしたときに活用できる制度を5つご紹介します。
中古住宅をリフォームしたときに活用できる制度は下記の通りです。
- 住宅ローン減税
- 所得税の特別控除
- 固定資産税の減税
- 贈与税の非課税
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金制度
住宅ローン減税
10年以上の住宅ローンを借り入れて中古住宅をリフォームすると、所得税の減税措置を受けられます。
所得税のうち年末の住宅ローン残高の0.7%を控除できる制度で、最大10年間適用されます。
所得税の特別控除
住宅ローンの借り入れの有無に関わらず、中古住宅に対象となるリフォームを行った場合には10%の所得控除を受けられます。
対象の工事と限度額は下の表の通りです。
対象の工事 | 限度額 |
耐震 | 250万円 |
バリアフリー | 200万円 |
省エネ | 250万円 |
三世代同居 | 250万円 |
長期優良住宅(耐震・省エネ・耐久性) | 500万円 |
長期優良住宅(耐震または省エネ・耐久性) | 250万円 |
※適用期間:2022年1月1日〜2023年12月31日
固定資産税の減税
対象となるリフォーム工事を実施し、工事が終わってから3ヶ月以内に市区町村に申請をすると、1年間分の固定資産税が減額されます。
対象となるリフォームと軽減額は下の表の通りです。
対象となるリフォーム | 軽減額 |
耐震 | 2分の1 |
バリアフリー | 3分の1 |
省エネ | 3分の1 |
長期優良住宅 | 3分の2 |
※適用期間:2024年3月31日まで
贈与税の非課税
贈与税の非課税とは中古住宅で対象となるリフォームをした際、親や祖父母から資金援助を受けた場合に贈与税が免除される制度です。
耐震、省エネ、バリアフリーの住宅のリフォームをした場合は1,000万円まで、その他の住宅の場合は500万円までを限度に贈与税が非課税になります。
※適用期間:2024年12月31日まで
長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金制度
住宅を長く使えるようにする、あるいは省エネ対策のリフォームをした場合や、子育て世帯のリフォームを対象とした「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金もあります。
補助金の対象となる工事は下記の通りです。
- 劣化対策や耐震性、省エネ対策などを一定の基準まで向上させる工事
- バリアフリー改修工事・インスペクションで指摘を受けた箇所の補修工事・テレワーク環境設備改修工事・高齢期に備えた住まいへの改修工事
- キッチン・浴室・トイレ・玄関の増設工事
- 若者・子育て世帯が実施する子育てしやすい環境を整備するための工事
- 自然災害に対応する改修工事
条件別の補助金が適用される金額、補助率は下の表の通りです。
条件 | 適用される金額 | 補助率 |
長期優良住宅認定を取得しないものの 一定の性能向上が認められる場合 |
100~150万円 | 3分の1 |
長期優良住宅認定を取得した場合 | 200~250万円 | |
長期優良住宅認定を取得し さらに省エネルギー性能を高めた場合 |
250~300万円 |
なお、長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金の申請条件として、リフォーム前にホームインスペクションを実施することが求められているため、あらかじめ建築士事務所などに依頼をしておきましょう。
中古住宅はリフォーム費用がかかるため、経済的な負担を軽減できるようこれからお伝えする制度を利用してしてみてください。
築50年の住宅をリフォームするときの注意点
最後に、築50年の住宅をリフォームするときの注意点について解説します。
築50年の住宅をリフォームするときの注意点は下記の通りです。
- リフォーム前にホームインスペクションを受ける
- 耐震性・断熱性を高める
- 外壁や屋根の劣化を修繕する
- 配管が劣化していたら交換をする
それぞれお伝えしますので、注意点を踏まえてリフォームで失敗をしないよう対策をしましょう。
リフォーム前にホームインスペクションを受ける
築50年の住宅をリフォームする場合は、あらかじめホームインスペクションを受けておくことをおすすめします。
築50年の住宅は劣化が進んでいる物件も多いため、リフォームを依頼する前にホームインスペクションを受け、建物の状態を調べておくとよいでしょう。
建物の劣化している箇所や状態がわかればどこを修繕すればよいのか明確になり、リフォーム工事にいくらかかるのか把握しやすくなります。
耐震性・断熱性を高める
築50年の住宅をリフォームする際は、耐震性と断熱性をチェックし、必要に応じて建物の性能を向上する工事をしてもらいましょう。
築50年の住宅は耐震性や断熱性が低い物件もあるため、ホームインスペクションを受けて検査をしてもらうとよいです。
耐震性を向上させれば、大きな地震が起きたときもすぐに倒壊しないという意味で安心ができることから「震度6に耐える」などと表現されています。
耐震性が向上することにより安心感が得られ、また断熱性が高まれば冬場は暖かく、夏場は涼しく過ごせ、光熱費の削減にもつながります。
外壁や屋根の劣化を修繕する
築50年の住宅は、外壁や屋根も劣化している場合があるため、ホームインスペクションを受けて修繕が必要だと判断されたら修理を依頼しましょう。
外壁に大きなひび割れがある状態を放置してしまうと、地震が起きた際に建物が損壊する危険性があるので、きちんとリフォームしておくことをおすすめします。
また、屋根にひびが入っていたりはがれていたりすると、隙間から雨水が入り込み、雨漏りを起こす場合があります。
雨漏りは建物の劣化につながるため、早急に修繕をしておきましょう。
配管が劣化していたら交換をする
年数が経った建物は、配管が劣化していることも多くあります。
キッチンや洗面所などの配管が劣化していると、水漏れをしてしまい、建物の構造体が腐食する恐れがあります。
木材が腐食すると耐久性の低下につながるため、劣化した配管は取り外し、新しいものに入れ替えておきましょう。
築50年の住宅をリフォームするときはホームインスペクションを依頼しよう
今回は、築50年の中古物件をリフォームしたら何年住み続けられるのかについてお伝えしました。
たとえ築50年の中古物件であっても、きちんとリフォームをすれば長く住み続けることも可能です。
年数が経った住宅で安心して暮らしていくには、あらかじめホームインスペクションを受け、建物の状態を把握しておくことが重要です。
当社「イクスプラン」では、住宅の屋根から床下まで隈なく検査をします。
検査は中古住宅の住宅診断を行う「既存住宅状況調査技術者」の資格を持つ建築士が担当し、建物が建築基準を満たしているかしっかり確認いたします。
中古住宅のリフォームを検討している方は、ぜひ当社へご相談ください。
【あわせて読みたい】
家の基礎工事の安全性や建築中の雨は大丈夫?不安なときはどうする?
災害に強い家とは|家を建てるときの7つのチェックポイントをご紹介
台風で家が壊れる確率はどのくらい?被害を防ぐための対処法を解説
お問い合わせ・ご相談はこちら
- (株)EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所
- 住所:〒814-0121福岡県福岡市城南区神松寺3-14-20-1013
- Tel 092-862-8880
- 記事監修:中嶋栄二
- EQSPLAN(イクスプラン)一級建築士事務所代表。建築士でありながら住宅診断を行うなど、家にまつわる幅広いお悩みやご相談などに対応。年間100件以上の実績で皆様の住宅に関するお悩みを解決します。【資格等】一級建築士・耐震診断アドバイザー・住宅メンテナンス診断士・建物危険度判定士フラット35適合証明技術者など